深夜のテレビショッピング【カニバリストの宴】
投稿者:ねこじろう (147)
10帖くらいはあるだろう広いスペースには毛足の長いベージュのカーペットが、敷き詰められている。
壁沿いにはイタリア製のオーシャンブルーのソファーセット。
白い壁には何が描かれているか分からない抽象画が何点か飾られ、反対側の壁には50インチはありそうな大型の液晶テレビが設置されていて、深夜の通販番組を放映していた。
部屋中央にある大理石の大きなテーブルの前で男女が向かい合って座り、ワイングラスで乾杯をしている。
カチンと心地よい音が響き渡った。
テーブルの真ん中には、カラフルなイタリアンが盛られた皿が並べられている。
「ユカ、20歳の誕生日、おめでとう」
男はそう言って、グラスに入った琥珀色の液体を一気に飲み干した。
歳は40代後半くらいだろうか。
オールバックの黒髪にはチラチラと白髪が混じっている。
角張った精悍な面構えに口髭がダンディーな印象だ。
タオル地の白いガウンの日焼けした胸元からはゴールドのネックレスが覗いている。
「パパ、今日はユカのために大事な時間を作ってくれて、ありがとう」
ユカという女はそう言ってにこりと微笑むと、グラスのワインを一口飲む。
栗色の艶やかな髪をアップにし、透き通るような白い肌は薄いピンクに上気していた。
男と同じ白いタオル地のガウンの胸元からは豊満な胸元が覗いている。
「何を言ってるんだよ。
私は大事なユカのことだったら、どんなに忙しい時でも一番に駆けつけるさ」
男は歯の浮くようなことを言いながら、ピッツァマルゲリータの一片にかぶりついた。
「パパには本当に感謝してる。
まだ出会って3年しか経ってないのに最初からこんな素敵なタワマンに住まわしてくれて、毎月お小遣いもくれるし、もちろんユカの店にも週一回は顔を出してくれるし、そして今日はユカが前から欲しかったBMWのスポーツカーをプレゼントしてくれて」
ユカは自分の言う言葉に感情がこみ上げてきたのか、いつの間にかその美しい瞳は潤んでいた。
「それもこれも全て、ユカの笑顔を見たいからだよ」
男はそう言って、満足げに微笑んだ。
だがその微笑みの裏には邪悪な思いが沈んでいた。
─フフフ、、そうやって喜んでいられるのも今のうちだ。
好きなだけ旨いものを食って贅沢な暮らしをして、脳ミソからじゃんじゃん幸せホルモンを垂れ流すんだ。
そしたらお前の身体はますます油が乗り、どんどん食べ頃に近づいていくだろう。
そして最後はお前の、その柔らかい頬も華奢な肩も豊満な乳房や太ももも、そして心臓も脾臓も全て俺の胃袋に収まる運命なんだよ。
男は年商50億の中古車販売会社の社長。
ひぇっt
悪夢の目白押し。短編映画にしてほしいw