深夜のテレビショッピング【カニバリストの宴】
投稿者:ねこじろう (147)
その華やかな表の顔に対して裏の顔は、若い女だけを狙って殺害しその肉や臓器を食らう性癖を持つカ二バリスト(人肉愛好家)なのだ。
「ああ、少し酔ったみたいだよ」
そう言って男は大きく伸びをして壁のテレビ画面に視線を移す。
すると、けたたましいマーチソングとともに、きらびやかなスタジオの風景が映し出された。
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拍手と歓声の中、スタジオ中央には、白いTシャツの上にいつもの赤い法被を羽織ったMCスマイル藤田と、黒のロリータファッションに身を包んだアシスタント、ゴスロリ花子が並んでいる。
深夜2時から一部の地域だけで限定放映中の「深夜のテレビショッピング」のオープニングだ。
「さあ、それでは、これからはマニアの方々のための商品をご紹介するコーナーに移りたいと思います!
ところで花子ちゃん、あなたはカニバリズムという言葉を聞いたことがありますか?」
藤田のいきなりの質問に花子は少し焦った様子で、
「え?カニ?私、タラバガニは大好きなんですけど、それって食べ物なんですかあ?」と返す。
藤田が苦笑しながら「タラバガニじゃなくて、カニバリズムです。
それでは皆さま、あちらの画面をご覧下さい!」
と言うと背後にある大画面に映像が映りだした。
映像は緑豊かな山あいの村を上空から俯瞰している。
「ここは山陰地方の山あいにある人口300人にも満たない小さな村なんですが、こちらの村では、大昔から受け継がれている奇妙な風習があるらしいのです」
藤田の説明の後、映像は切り替わり今度は広々とした畳部屋が映し出された。
中央にある座卓の上にカセットコンロに乗せられた土鍋が二つ置かれていて、その前で男女7、8名が賑やかに談笑しながら箸をつついている。
ビールを飲んでいる者もいる。
どうやら皆で鍋料理を食べている最中のようだ。
皆、喪服姿だ。
「現場のミカリーン!」
藤田が画面に向かい呼び掛けると「はーい!」と元気な若い女性の声が聞こえてきて、画面手前に白いスーツ姿の女子アナ、ミカリンが現れた。
「藤田さん、花子ちゃん、こんばんは~!
私は今、山陰地方のH村にある大田原さんのお宅にお邪魔しておりま~す。
実はですね、今朝のことなんですけどお、こちらの当主である大田原源蔵さんがお亡くなりになられたんですう。
え~ん、ミカリン悲しいですう。
それで今晩がお通夜で、こうやってご家族やご親戚の方々が集まっているんです。
それでは、こちらの方に聞いてみましょうか」
そう言ってミカリンは、一番上座に座っている喪服姿の中年男性に声をかける。
ひぇっt
悪夢の目白押し。短編映画にしてほしいw