ホームレスから盗んだガラケー
投稿者:N (13)
大学を出てからふらふらと過ごしてた俺は、転々としてたバイトも店長と喧嘩してクビになり、晴れて無職となった。
だがまあ、新しいバイトなんてすぐに見つかるだろうと思って何日かはパチンコしたりと気ままに過ごしてた。
そんなある日、友達と夜遅くまで居酒屋で飲んだ帰り、酔い覚ましにその辺を歩いていると、ホームレスが歩いているのを見かけた。
小汚い身なり。レジ袋を提げて、ザッザッザッとサンダルみたいなのを履いて歩いている。
途中まで方向が一緒だったから、何となく後をつけるような形になってしまった俺は、これまたホームレスがどんな所で寝泊まりしてるのか気になって、そのまま尾行することにした。
ホームレスが入っていったのは高架下だった。
そこには何人ものホームレスが住み着いているのか、ダンボールハウスが複数あり、ブルーシートの青色が夜目でも透けて見えた。
俺が尾行してたホームレスは屈むようにして小さなダンボールハウスに入ると、またすぐに外に出て、どこかへ行ってしまう。
ただ、その手にレジ袋は無かった。
その様子を影から眺めてた俺は『今ならあのダンボールハウスに侵入しても誰もいない』と、悪魔の囁きを受けた気がした。
別に何か悪さをするつもりはない。
純粋にダンボールハウスの中が気になっただけに過ぎない。
そんな言い訳を建前に、俺は闇夜に紛れながら他のホームレスが起きないように、抜き足で目的のダンボールハウスに侵入した。
当たり前だが臭いし狭いし暗い。
持ってたスマホの明かりで中を照らすと、僅か二畳あるかないかといった広さ。
その領域のほとんどがゴミにしか見えない小物や段ボール箱、布団なんかの生活必需品で埋もれてて、大人の男性一人が横になるスペースさえも無い。
あのホームレスは、いつもこの足場のないスペースで体を丸めて寝てるのだろうかと想像すると、こうなりたくないと思った。
中を物色していると、小汚い小さなダンボール箱の中にアルコール飲料なんかがあったが、さすがに飲み口が開いてると手を出す気もおきない。
何か珍しいものが無いかと手探りするが、ホームレスがそういったものを所持しているわけもないかと諦めかけたその時、毛布にくるまれたレジ袋を見つけた。
あのホームレスが歩いている時に持ってたレジ袋だと確信する俺。
何か貴重品でも入ってるのかと思い、ワクワクしながら結び口を解くと、中にはガラケーが入ってた。
いつの時代の機種か分からないが、塗装や傷があるにしては全体的に色褪せていないというか、少し綺麗に見える。
電源を長押ししてみるが、入らない。
電気切れだろうか?
しかし、何度も電源を押していると、背後から『ザッ』と足音が聞こえて振り返ると、帰ってきた家主のホームレスがブルーシートのドアを暖簾のように開けて中を覗く。
そして、振り返った俺と目が遭い「うわあ、だ、誰だああ!」と叫ぶ。
俺は思わず「うおおっ!」と反射的に叫びつつホームレスを片手で突き飛ばすと、ホームレスは尻もちをついた。
その隙にダンボールハウスから飛び出した俺は、一目散に高架下から逃げ出した。
後ろから「待てコラあああ!」っておっさんの叫び声がしたが、聞こえなくなるまで走った。
それでゼーハーゼーハーしながら、ホームレスを撒いた事を確認した俺は、思わず持ち帰ったガラケーをポケットに収めつつ、そのまま帰宅。
kamaです。怖いですね!僕だったらスライディング土下座してます!
色々ヤバすぎだろ
絶対に他人の持ち物を盗んではいけない!マジでヤバい!
こえー
ヒトコワは生々しくて嫌な読後感がありますね
どっちもどっちだね。
怖かったー!!
全力で逃げる20歳の若者を追跡できる、家を特定できる、鍵を開けれる、マッチョ
そんなホームレスを人生で一度でいいから見てみたい
なんか主人公がちいかわみたいになってるの想像してしまった