死者への電話
投稿者:神助 (16)
これは私の叔母が体験した話です。
叔母は独身の頃、電気屋さんで働いていました。
そこは大型店舗という感じではなく、社長さんがご夫婦で経営しているような昔ながらの地域密着型というスタイルのお店だったそうです。
売り場は一階のみで二階は倉庫でした。
ある日の金曜の夜、叔母が閉店の準備をしていると、どこからともなく
『カツカツ…カツカツカツ……』
と誰かが歩いているような音が聞こえて来たそうです。
お店はもう閉店しており、叔母は一緒に後片付けをしていた社長の奥さんと顔を見合わせました。
「なにかしら?」
お店にお客さんはもう誰一人残ってはいない。
それなのに『カツカツカツ』というこの音は間違いなく店内から…しかも二階から聞こえてきています。
「誰か二階に居るのかも!確認して来ます!」
叔母がそう言うと奥さんは
「ひとりじゃ何かあったら困るから一緒に行くわ」
と、叔母と奥さんは二人で二階を見に行く事にしたそうでした。
いつもの見慣れた店内の階段の筈なのに、この時ばかりは異世界にでも続いているかの様な、何とも言えない異様な雰囲気を漂わせていました。
一段、二段と二人で階段を上る。
倉庫の足音はまだ聞こえている。
『カツ…カツカツ……』
緊張が一機に高まった時、ついに階段を上りきった!
すると不思議な事にさっきまで聞こえて来ていた『カツカツカツ』と言う音はピタリと止んだそうです。
倉庫内を見回るも誰もいません。
「おかしいわね、確かに誰かが歩いていた様な音がしたのに」
叔母も奥さんも首をかしげました。
そしてこの現象は次の週の金曜日にも起きたそうです。
『カツカツカツ…』
「まただわ、また二階からあの足音が聞こえる!」
この日は社長さんもいたので社長さんが見に行く事に。
けれども一階、二階と隈なく探すも足音の原因は結局分からないままで終わりました。
更に次の金曜日。
『…カツ、カツ…バタバタバタ!!』
この日はいつもの足音がやけに騒がしい!
こう毎週続くと社長も奥さんも叔母もまたかという感じで、怖いと言うよりは『何なんだろう?』という疑問の方が大きくなっていました。
その時だった、『ジリリリリーン!』(当時の電話音)と電話が鳴りました。
奥さんが出る。
「あの、佐藤さん(仮名)いらっしゃいますか?」
奥さんは一瞬、あっと言う顔をしてこう答えました。
「実は佐藤は半年前に亡くなったんです」
佐藤さんとは、この電気屋さんで長く働いていた人だったが、半年前に亡くなってしまっていました。
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