戯れる子猫
投稿者:YoyoYoyoY (52)
春風の吹く気持ちの良い日曜日。
ドッジボールをすることになり、公園で友達を待っていました。ずいぶん早く来てしまったので、ブランコに乗って時間を潰すことにしました。
公園の周りには、シロツメクサやタンポポヒメオドリコソウに、ナズナなど春の草花が顔を覗かせています。モンシロチョウも飛んで来ました。
ぼんやりと眺めていたら、ふと視界に入って来たものがありました。猫!子猫だ!かわいい~と思った瞬間、凍り付きました。
下半身しかないんだけど!
よく見ると、少し透けて見えます。その猫は、日本猫の中のキジトラという種類でした。薄茶色の地色に、黒い縞模様が入ったよく見かけるタイプです。同じ日本猫の中でも、特に好奇心が強く元気で人懐っこい猫です。
下半身猫は、モンシロチョウを追っかけ回しています。
私はその光景を、ずっと目で追い続けました。草むらに飛び込み、またジャンプしてはモンシロチョウを取り逃しのエンドレス。まるでサイレントムービーを見ているようです。
しばらくすると、友達が集まって来ました。
「ドッジボール始めるぞ~」
私はボール遊びに集中しました。下半身猫は、まだモンシロチョウを追っているようでした。
夕方になり、家に帰る時間になりました。友達のひとりに、近所の野良猫のことを聞いてみました。
「最近、この辺に住み着いた野良猫が子猫を産んだって言ってたよね?子猫たちってどうなったのかな、知ってる?」
友達は少し目を伏せて、答えました。
「5匹生まれて、3匹は引き取られたけど2匹は居なくなったって。それでね、1匹はこの先の道路で自動車にひかれちゃったんだって。保健所の人が死骸を回収に来てたよ。」
そうだったんだ。
小さい子猫だから、自分が死んだことも気付かないのでしょうか。
モンシロチョウを捕まえたら、空に行ってねと祈りました。
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