出来心

中学生の時、ふと、自分の通う学校に七不思議があるのか調べてみました。理科実験室や保健室、トイレなど、ありがちな場所にありがちな話があるにはありましたが、独自色がなくて物足りなかったので、こっそり一つ付け足して卒業することにしました。

「夕方、特別棟4階廊下の一番北の窓を覗いてはいけない。とてもとても怖いものが見えるから」曖昧すぎて七不思議の一つとはとても言えないこんな話を、調べた結果と称して数人の友達と仲の良かった部活の後輩に話して、私は卒業しました。

高一の秋頃、部活にOBとして訪れたとき、後輩に聞き取りをしてみました。みんな話は知っていました。試してみたという子もその場に二人いたので、何が見えたか聞いてみました。すると、Aちゃんは生きたまま燃えている人、Bちゃんは骨が折れて体から飛び出した血まみれの人が見えたと話してくれました。

そして二人は揃って暗い顔をして、「わかったんです。あれが私たちの死に方なんだって。理由はわからないけどわかりました」と言うのです。あまりに暗いので慌てて私の作り話だと種明かしをしたのですが、納得してくれません。「初めはそうだったのかもしれないけど、今はほんとです。先輩も試したらわかります」と言い張るのです。

妙な雰囲気になってしまったので、理由をつけて帰りました。あのままあそこにいたら、私も試すことになっていたでしょう。私は、私が出来心で呼んでしまったのかもしれない何かに会うのが怖くて、あれからずっと母校には足が向きません。