どっちについて行こうかな

私は霊感が強いほうですが、類は友を呼ぶで、友達も霊感の強い子が集まります。

中学生の頃の話です。
中間テストが終わったその日、開放的な気分で放課後を迎えました。
同じマンションに住む友達は５人、一緒に帰ることになりました。

「あれ、さっき女子トイレの前にいなかった？」と友達が言いました。
「え？トイレなんか行ってないし、ずっと教室にいたけど」
そう言うと、友達は怪訝な顔で辺りを見回しています。

数分後、５人でペチャクチャお喋りをしながら、学校を出ました。

先ほどの友達が、ずっと俯いたままなので、気になって声を掛けました。
「どうしたの？体調でも悪いの？お母さんに迎えに来てもらう？」
そう聞くと、他の子に聞こえないように、小声で話してくれました。
「さっき、あなたに似ている女子生徒をトイレの前でみかけたんだけど、たぶん、幽霊だと思う。」

彼女は、私より霊感が強く、ハッキリ見えすぎて人か幽霊か分からないときがあるようでした。

「それでさ、言いにくいけど、ずっとついて来てる」

ビックリして大声を出しそうになりましたが、我慢です。
マンションに着いた私たちは、それぞれエレベーターに乗り、自分の階で降りて行きます。
一人降り、二人目が降り、私と霊感友達だけになりました。
「ねえ、まだいるの？」
「いるよ・・・」
そう言うと、彼女は自分の階に止まったので、降りて行きました。
私が一番最上階なので、一人でエレベーターで上がります。

家に着いて、ああ、幽霊はどっちについていったのだろうと気になりましたが、未だに分からないままです。