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不思議体験

やうくいさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

恐怖
短編 2021/02/24 12:17 2,326view
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いつもは何とも思わない空間が、急に恐ろしく感じることはないだろうか。家の廊下や帰り道の踏切、会社の倉庫。特に理由は見つからないが、ここに立ち入ってはいけないと感じる瞬間がある。しかしながら人は、そんな時にも立ち入らざるを得ない場合がある。
これは、私が怖いと感じた場所に無理に入った時の話である。

秋も半ばのある日、仕事から帰って次の日が休みだった私は、映画を何本も続けて観ていた。楽しいことをしていると時が過ぎるのは早いもので、ふと時計を観ると深夜2時になっている。風呂に入らずに寝るのは嫌いなため、私は寝落ちしてしまう前に風呂に入ることにした。

風呂から上がり、髪を乾かし歯も磨いた私は、廊下への扉を開けようとした。途端、自分が冷や汗をかいているのに気がついた。この扉を開けて、廊下に出ることがものすごく怖いのだ。小さい子供でもあるまいし、夜に暗い廊下へ行くのが怖いなんて、と笑ってみたが恐怖は薄れてくれない。この扉の先に一体なにがあるというのか。パジャマは寝室に置いているため、パンツ一枚の私は流石に寒くなってきた。いよいよ怖いなどと言っていられなくなったので、意を決して廊下に出ることにした。

勢いよく扉を開け廊下に出た私は、妙に生暖かいと感じた。あんなに洗面所は冷えたのに、廊下が暖かいのはかなり奇妙だ。そして、誰かの気配を感じる。近くに他人が存在し、緊張してしまうあの気配。気づくと私は全身に冷や汗をかいていた。これ以上進みたくないと体が拒否しているのを感じる。全身が強ばりながらもなんとか寝室にたどり着いた私は、パジャマを着てベッドに入った。本当はまた映画を観るつもりだったが、それどころではない。寝室に入ってからも誰かの気配を感じていた私は、頭まで布団を被りしばらく震えていた。しかし、疲れていたこともあり、そのうち眠りについていた。

ところが、そう時間も経たないうちに、私は目が覚めてしまった。何かに首を締められている。頭まで被っていたはずの布団がなくなり、私は仰向けで金縛りにあっていた。手首と足首も強く掴まれていて身動きひとつ取れない。考えているうちにもどんどん息苦しくなっていく。意識を失っていく私は、生臭い臭いを強く感じていた。

翌朝目が覚めると、あの気配はすっかり消えていた。布団は床に落ちており、なぜかぐっしょりと濡れていた。全身が謎の筋肉痛と倦怠感に襲われて、二度寝をすることにした私は、貴重な休日をほとんど睡眠に使ってしまった。

あれ以来私は、怖いと思った場所には近づかないようにしている。どうやらそういった気配は一時的に溜まるものらしく、しばらく待っていればどこかに消えてしまうようだ。
皆さんも、本能的に感じる恐怖というものは、蔑ろにしない方が良いかもしれない。見えない何かを感じ取っている可能性があるのだから。

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コメント(1)
  • 自分もそれに近い経験が多々あるので参考になりました!

    2021/02/25/23:20

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