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意味怖(意味がわかると怖い話)

件の首さんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

おうちで介護
短編 2022/10/15 21:32 1,320view
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結婚20年で、姑が倒れた。
 姑は脳血管障害による半身麻痺、言語機能が障害されていた。
 舅は既に亡く、多忙な夫や大学に通っている息子の手は借りず、私は1人で姑の面倒を見始めた。

「お義母さん、ごはんをどうぞ」
 麻痺は右半身で、左利きだった姑は本来スプーンを使えた。
 だが、私は決して自分でやらせない。
 これだけで、筋力は低下し関節はどんどん拘縮していく。
「げほっ、げほっ……」
「あらあら、慌てないで下さいね」

 刻んだ食べ物は一見食べやすそうだが、気道に落ちて肺炎を誘発する。
「しっかり食べないと元気になりませんよ」
 料理内容は、きちんと夫から聞き出した、本当に姑が嫌いなもので揃えている。
 姑は涙を流し、むせこみつつ呑み込んでいる。さもなければ、私が他の介護を何もしないからだ。

 私は姑から、いわゆる嫁いびりを受けていた。
 様々な仕打ちがあったが、何より。
 最初の子を、「結婚前の子なんて恥ずかしい」という理由で堕胎させられた。気付かぬうちに中絶薬を盛られていたのだ。

 全てがこの調子で、優しい言葉をかけつつ、姑が苦しむように介護を行った。
 端から見れば、献身的に姑の世話をする嫁でしかない。

 僅か半年で、姑は死んだ。
 枕元に「置き忘れた」、使い捨て手袋を呑み込んで窒息したのだった。

 夫と告別式の打ち合わせをしていると、息子がやって来た。
「お母さん。ちょっとタイミングは悪いんだけど」
「なに? 全然気にしないよ?」
「お葬式の後、婚約者、連れてきて良いかな? 多分、挨拶、今を逃すと間が空いちゃいそうでさ」
 息子は照れ笑いを浮かべる。

 ……結婚? 私に一言の相談もなく?

「きっと気が合うよ。お母さんに、ちょっと似てるんだ」

 子供なんか、出来てないでしょうね。

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コメント(1)
  • 歴史は繰り返す。
    今度は、自分がお嫁さんに・・・。
    負の連鎖のくらい恐ろしいことはございませんね。

    2022/10/16/22:51

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