赤い糸
投稿者:千心 (17)
短編
2022/09/12
23:41
1,076view
看護師で夜勤をしていた時のお話です。
当時脳神経外科に勤めていた私は個室の患者さんを担当していました。病院の夜勤となると先輩から「ここは出るよ」とか「子どもがあそこにいる」と怪談話を聞いたりしたのですが霊感に疎い私はそういった状況に遭遇した事が今まで一度もありませんでした。
しかしついにその時が訪れたのです。
それは40代の若い男性が手術をした2日後のことです。22時の巡視に行くと患者さんが「赤い糸がある。切ってくれ」と言いました。
術後2日となると不穏といった症状が出やすいので不穏が出てきたのかな?と思っていたのですが、明らかに患者さんの表情がこわばっており今まで見てきた不穏の方とは違いました。「おい、見えないのか?俺の右肩に赤い糸があるだろう。早く取ってくれ」と何度も言うので私には見えないながらも手で振り払って落ち着くよう声をかけていました。
しかし声が大きくなってきてしまったのでついに医師の指示により点滴を行い、その後患者さんは眠りました。
翌朝になり「気分はどうですか?」と聞くと患者さんはそっと洗面台を指差すのでそちらを見るとなんと赤い糸が散乱していたのです。
夜中にはなかったはずなのにどうして?と思うと共に患者さんの背中を見ると細く赤い傷が数本刻まれていました。
幸い患者さんは無事退院しましたがあの時は本当に何かいたのでしょうか?今でもゾッとします。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。