奇々怪々 お知らせ

不思議体験

ブラジル産さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

山の中の道の駅にて
短編 2022/09/03 00:21 1,192view

数年前の出来事です。

当時私は、実家から車で1時間半ほど離れた場所で一人暮らしをしており、仕事が連休の時などに時々実家に帰るような生活を送っていました。
一人暮らしのアパートから実家までは、数個のトンネルを抜けて山道を走るのですが、だいたい中間の場所に道の駅があり、眠くなったり疲れたりした時によく休憩や仮眠をとっていました。その日も夕方頃に実家を出てアパートに帰る途中、眠くなって道の駅に寄りました。

端の方に車を停め、エンジンも止めて椅子を倒し仮眠をとり始めると、ふと金縛りになり目は開くのに身体が動かなくなりました。その当時は疲れからの金縛りによくなっていたので、最初は あー、またか くらいに思い治まるのを待っていました。
しかし次の瞬間、視界の隅に車に近付いてくる人の姿が見えたのです。道の駅の建物の方から、車にゆっくりと近付いてくる若い女性のような足だけが見えました。急に怖くなって身体を動かそうとしますが、全く動かず、声も出せません。

恐怖でパニックになっていると、追い討ちをかけるように何故か車のエンジンがかかりました。そして、視界の隅にある足がゆっくり近付いてくるのと同じくらいの速度で、車が後退し始めたのです。

その道の駅は山の中にぽつんとあり、私が車を停めた場所のすぐ後ろは、崖でした。と言っても、めちゃくちゃ古い道の駅ではないので、縁石もフェンスもあったはずなのですが、その時はどこにもぶつかる様子なく後退して行ったのです。

車が傾き始め、あぁ、このまま落ちて死ぬのか…と、さっきまでのパニックが嘘のように冷静に考えて目を閉じた瞬間、ハッと目が覚めました。

物凄い動悸がして苦しかったですが、身体を起こして急いで辺りを確認しました。しかし、誰もいなければ車も全く動いていませんでした。どうやら、ただ夢を見ていたようでした。
夢で良かったと安堵する反面、今まで霊感もなく心霊体験など夢の中ですら一切経験して来なかった私にとっては、夢と思えないくらいの恐怖でした。数年経った今でも、このように文章としてスラスラ綴れるくらい鮮明に覚えています。

その後も何度かその道の駅で休憩することがありましたが、崖側の駐車場には絶対に停めませんでしたし、不思議な体験をすることもありませんでした。
夢オチですみません。夢…だったんだよなぁ…

1/1
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。