赤い服の女の子
投稿者:ちぃ (7)
短編
2022/07/21
14:52
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小学生の頃、家族5人で岐阜に旅行に出かけた。
ホテルに着き夕食を食べ終わると、みんなで温泉に入りに行くことになった。
母と私は2人で先にエレベーターへと向い、ドアを閉めようとすると前を赤い服の小さな女の子が通り過ぎて行った。
「変ねえ、奥は行き止まりなのに」と母は呟いたが、温泉が楽しみだった私は早く行こ〜とあまり気に留めなかった。
ホテルの部屋は綺麗だったが少し古く、夜に窓ガラスがドンドンと音を立てて鳴っていたのを覚えている。
そんなに天候も悪くないのに不思議だなあと思ったが、田舎のホテルだから仕方ないかと思った。
旅行から帰った後、私はなぜか母のことを「ママ」と呼ぶようになった。普段は「お母さん」だったから、みんな不思議がっていた。あまり甘えるような性格でもなかったが、あの時だけはずっとママのそばにぴったりくっついていたがった記憶がある。
いつも意地悪をしてくる兄は「お前そんなキャラだっけ?笑」とからかってきた。
1週間ほどすると、自然と「お母さん」呼びに戻った。
病院勤めの母には少し霊感があるようで、ほっとした表情をしていた。
何年か後に当時のことを覚えているか聞いた時、「覚えているよ、きっとあの子がついてきちゃったんだね」と言っていた。
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