エレベーターの男
投稿者:いちご大福 (12)
これは、私が営業で働いていた時に起こった出来事です。
うちの会社はいわゆるブラック企業で、深夜の1時過ぎまで働いていることはザラにありました。
その日は深夜の2時ぐらいに仕事が終わり、私は会社が入っているビルのエレベーターを使って1階まで降りようとしていました。ちょうどエレベーターが開いていたので、今なら間に合うと思って走ったのですが、一足遅く、エレベーターはスーツを着た男性を1人乗せて下に行ってしまいました。
しかし、私はここでゾッとしてしまいます。
なぜなら、その男性をが明らかに薄気味悪く「ボボボボボッ」と高らかな独り言を言っていたからです。
あれは、何だったんだろうと思いながらも私はまたエレベーターを待っていました。
そして、しばらくするとまたエレベーターがやってきたのですが、私はここでもゾッとしてしまいます。
なぜなら、さっきの薄気味悪いスーツの男性がまだ乗っていたのです。私は急に怖くなり、エレベーターには乗らず営業所に引き返しました。
すると、私の後ろではまた「ボボボボボボッ」という高らかな声がエレベーターから聞こえてきたのです。
結局私はその後、会社に残っていた先輩と階段を使って下まで降りることにしました。
そして、先輩にさっきの話を伝えると先輩が興味深い話をしてくれました。なんと、このビルにはうちの会社で自殺してしまった男の幽霊がたびたび目撃されているんだそうです。
その男性も深夜遅くまで働いていたので、鬱で病んでいたとのことでした。その話を聞いてギョッとしましたが、死んでまで会社に来てしまう姿を見ると、なんだか可哀想にも思えてしまいました。
それ以来、私はその男性の幽霊に出会うこともなく会社を退社しましたが、未だにあのビルは存在しています。そして、ビルの前を通るたびにあの日の出来事を思い出してしまうのです。
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