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不思議体験

ザクトさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

田舎の踏切とトンネル
短編 2021/02/07 22:35 2,246view

自分がまだ小学校高学年だった頃の夏休み、親の勧めで田舎での4泊5日自然体験に参加しました。

寝泊まりしていたのはその地区の公民館だったのですが、4日目の夜遅くに「明日で最終日なのでみんなで星とホタルを見に行こう。」と引率の先生が提案し、自分は街灯も少なく間に墓地の横を歩くということを聞いてあまり乗り気ではなかったのですが仕方なく行くことになりました。

公民館からホタルの見れる山間のスポットまでは片道30分程度だったのですが、間に墓地を通るのとその地区を走る電車の踏切を通過する道のりでした。その踏切はすぐ横に真っ暗なトンネルのある夜に見ると気味の悪い踏切でした。

自分たちが墓地を通過し踏切の手前に差し掛かったころ、急に胸の当たりが気持ち悪くなり5分程動けなくなりました。自分のその様子を見て心配したのか先生から戻ることを提案されましたが周りに迷惑をかけたくない気持ちと踏切さえ超えてしまえばホタルを見ながら休めると思い、そのまま進むことにしました。

そして集団の後ろの方にいた自分が踏切を渡ろうとしたところ、警報も鳴らずいきなり遮断機が降りてきて慌てて後ろに下がりました。その時前を歩いていた子が踏切内に残されていました。ですがその子は踏切の中から出ようとせず一心にトンネルの中を見ていました。その直後に先生が慌てて抱き抱えて踏切内から助け出されましたが、遮断機が上がるまでに警報も鳴らず電車の通過もありませんでした。そもそもトンネルと反対側は見晴らしのいいところなので電車が来ていたら分かるはずなのですがそれもありませんでした。

線路内から助け出された子になぜトンネルの中を見ていたのかと聞きましたが本人は踏切を渡り出した辺りから記憶がなく、気づいたら踏切の外で先生に抱き抱えられていたとのことでした。

その後はとてもではないですがホタルを見る雰囲気でもなく真っ直ぐ公民館に向かい同じ部屋で集まって眠りにつきました。

翌日、気になったので再度踏切を見に行きましたが昼間なので気味の悪さもなく、電車の通過前には警報が鳴ることも確認しました。また、近隣の方に話を聞いてみても、今までそういった話は聞いたことがないとの事でした。
帰り道に通った駅でも話を聞きましたがやはりその時間に電車は走っておらず、遮断機が閉まることも無いと答えられました。

あの夜自分は集団でいましたが、もし踏切の中にいたのが自分だったら、もし1人で夜にあの踏切にいたらと思うと帰るまで恐怖でいっぱいでした。それ以来地元に帰ってきても暫くは踏切前で渡るのを躊躇したりする時期がありました。

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