私を救ってくれた人
投稿者:ぴ (414)
私が小学生の時、その町に引っ越してきたのは家族の転勤がきっかけでした。
それまではどちらかというと都会のほうで住んでいたので、転勤先の田舎町を見て、とてもがっかりしました。
遊ぶ場所もぜんぜんないし、お店がとにかく少なかったです。
周りは田んぼか畑かしかない場所の一軒家を借りて、それがとても恥ずかしくて嫌でした。私は前の暮らしに戻りたくて仕方なかったです。
そして一番の問題が友達。
都会から引っ越してきたということで、かなり悪目立ちしてしまいました。
私がちょっとつんけんしていたのも悪いです。
そのせいで、なんだか近寄りがたく思われてしまったみたいで、なかなか友達が作れずにいたのです。
いつも一人でぽつんとしていて、孤独感が押し寄せました。
そんな私に唯一話しかけてくれたのが、当時学級委員だったゆかりちゃんという友達だったのです。
ゆかりちゃんはいつも元気いっぱいで、古いしきたりよりも新しいものに興味を抱く好奇心旺盛な子でした。
そのせいもあったか、都会から引っ越ししてきた私にいつも元気に明るく声をかけてくれました。
いっぱい話しかけられて、馴れ馴れしいと鬱陶しがってしまったこともあります。
しかし、一度クラスで筆箱の盗難事件があり、当時その犯人に仕立て上げられそうになったのを助けてくれたのも、このゆかりちゃんでした。
とにかく私はゆかりちゃんに恩を返せないくらいにたくさん助けてもらったのです。
こうして田舎でできた唯一の友達だったゆかりちゃんとの別れは本当に呆気ないほど早かったです。
私が引っ越してきて数か月後に夏休みに入ったのですが、その夏休みに1日だけ私はゆかりちゃんと遊ぶ約束をしたのです。
というかほとんどゆかりちゃんの強引な誘いを断りきれずという感じでしたが、初めて友達を家に招くと聞いて、家族はとても喜んでくれました。
こっちで初めてできた友達を大事にしろと父には口を酸っぱくして言われました。
しかし、約束したその日ゆかりちゃんは結局家に遊びに来ることはありませんでした。
両親はとてもがっかりしており、けれど私をすごく慰めてくれました。
私はなぜゆかりちゃんが来てくれなかったのか分からなくて、すごくむしゃくしゃしていました。
しかし、その数日後に理由が分かりました。
ゆかりちゃんは夏休みの約束の日を待たずに川遊びの最中の事故で亡くなってしまったと聞いたのでした。
夏休み明けはみんな暗い顔でした。
私はまだあのゆかりちゃんが亡くなったというのは信じがたく受け入れがたかったです。
ゆかりちゃんの事故の話を聞いて、クラスでは泣いている子もたくさんいました。
私はまだ仲良くなりかけていたところでしたが、もっとたくさんゆかりちゃんとの思い出を持ったクラスメイトはたくさんいたはずです。
とても悲しんでいて、なんだか胸が苦しくなってしまいました。
新学期が始まって、いまだに私は一人でぽつんと過ごすことが多かったです。
読んでいて涙が出ました。
ゆかりちゃんの優しさに泣きました。怖いボタンではなくグッドボタンが有れば何度でも押したい。
私も心で泣きました‼️