ある少女との不思議な出会い
投稿者:カンニバル (7)
これは私がちょうど一年前に体験した心霊体験です。
急な転勤が決まったので大阪を離れて長野県へと引っ越しをする事になったのです。
アパートの下見をする時間も無かったので、支店の方にとにかく価格の安いアパートを探してくれとお願いして、無事に引っ越しも済みました。
部屋の窓からは雄大な北アルプスを眺める事が出来、何とも言えない解放感に浸る事が出来ました。
1週間ほどは部屋の片付けと仕事の引継ぎに追われていました。
しかし、引っ越しして1か月も経つと生活のリズムが安定して心地よい住みやすさを感じる様になったのです。この時は、まさかあんな不思議体験をする事になるとは想像もしていませんでした。
私は観光土産を扱う仕事をしており、ちょうどゴールデンウィークに入り、長野支店での初めての繁忙期を迎える事になったのです。
お客様が帰った後、翌日に備えて商品を補充をしていました。
こんな時に限ってトラブルが発生するものです。
納品業者が事故渋滞に巻き込まれて到着が21時を過ぎると連絡が入ったのです。
社員全員が残る必要は無いのでじゃんけんをして私だけが残る事になりました。
静まり返ったお店の中は、昼間の賑やかな雰囲気とのギャップが大きく少し恐怖を感じました。
予定よりも早くトラックが到着したので急いで商品を補充します。
可愛らしい白のうさぎのぬいぐるみが売れ筋商品で、この日も残り2個まで減っていたので助かりました。
商品の補充も終わって自宅に帰りテレビを見ていた時の事です。
ふと、玄関の方から人の気配を感じました。そっと覗くと靴箱の隅に白いうさぎのぬいぐるみがあったのです。
先ほど、私が補充したうさぎのぬいぐるみだったのです。
間違えて持ち帰ることなど絶対にありえません。少し怖くなってきました。
そっとぬいぐるみを手で掴むと生暖かい温度を感じるのです。
まるでさっきまで人が抱きかかえていたような体温に近い温かさです。
5月の長野はまだまだ肌寒く、玄関に置いたぬいぐるみに温かさを感じる事は絶対にありえません。
先ほど補充したぬいぐるみも冷たくて、生命感を感じる事など無かったのです。この暖かさはどう考えても人の体温です。
とっさに思わずぬいぐるみを投げ捨ててしまいました。床に転がるぬいぐるみはなぜか優しい表情でこちらを見ています。
しかし、怖くて仕方がないので、とりあえずぬいぐるみを玄関外にある洗濯機の中に放り込んで鍵を閉めました。
すると今度は、玄関の外から子供の泣き声が聞こえてきたのです。かすれた様な声が耳に突き刺さりました。
しかし、そっと覗き窓から外を覗いても誰も居ません。
玄関を開けると暗闇の中で街頭だけが光っていました。
ヒンヤリとした空気が室内に流れ込み、怖くて扉を閉めました。その後は何もなかったので、疲れが貯まって幻覚が見えたと自分に言い聞かせて寝る事にしたのです。
熟睡していたのですが、また子供の声が聞こえてきて目が覚めました。
夢か現実か判断が付かず、スマホで時間を確認するとちょうど2時でした。余計な事を考えると恐怖で眠れなくなるので布団に潜り込んだ時の事です。
温かいなぁ・・・・
ためはち