ボロアパートの声と影
投稿者:剛毅 (5)
これは、私が小学1年生の時に体験した時の話です。
私は当時、とんでもなくボロい2階建てのアパートに暮らしていました。
この日はとても暑く、私は早く家に帰りたかったのですが、お母さんは近所のお母さんとの話に夢中でなかなか帰ろうとしません。
うんざりした私は、お母さんに「帰るから鍵貸して。」と半ば奪い取るようにして鍵を手にすると、2階にある部屋に向かいました。
ご機嫌ナナメな私はぶつくさ文句を言いながら玄関に向かい、扉を開けた瞬間、「ハハハハハハッ、ハー」という女性の声が家の中から聞こえてきたのです。
その瞬間、私は金縛りにあったかのように動けなくなりました。家には誰もいないはずです。
それに私の家族は、私と母親の他に女性はいません。
かなり狭い部屋なので、外から聞こえてきたというのも考えられません。
私はそれまで霊を何度も見たことがある、所謂『見える人』だったのですが(小学校高学年になってからは全く視えなくなりました)、霊の声を聞いたのはこれが最初で最後です。
人の声というのは耳で聞くのですが、この時聞いた声は体全体をすり抜けるように聞こえたのです。
私のことを嘲笑っていたのか、女性が笑っていた理由は分かりません。
いや、そもそも男性か女性かも分からない。そんな声でした(視える、聞くことができる方なら分かると思います)。
恐怖で動かせなかった体がふいに動かせるようになったことに気づくと、私は猛ダッシュで階段を駆け下りました。
安全な場所まで行き、ふと自分の部屋を見上げると、台所の小さい窓から私の方をじっと見つめる女性のような人がいたのです。
スリガラスなのではっきりと見えませんが、それはガラスにべったりと張り付くようにこちらを見ていました。
それを見た私は腰を抜かしたように転ぶとすぐに立ち上がり、お母さんのところまでダッシュしました。
その後、お母さんと一緒に帰宅した時には当然誰もおらず、部屋にはしっかりと鍵が閉まっていたので、外から聞こえてきた声だとも思えません。
私はこのアパートで黒い人影が動いていたり、誰もいない部屋のドアノブが激しく動きだすなどの現象を何度も体験してきました。
それから2年後に引っ越したのですが、もうあのアパートには二度と戻りたくありません。
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