人形供養での不思議で怖い話
投稿者:ナナシー (36)
人形供養を通しての出来事になります。
もう十年以上前のことになりますが、祖父母が亡くなり遺品を整理することになりました。
親戚一同が集まり、形見分けの意味合いも込めて田舎の大きな家を片付けに行きました。
人出が集ったこともあり、一日で作業を終えることができました。
広間には貴金属や洋服、絵画から日常生活品まで並べられました。
私自身欲しいものはなかったのですが、私が小学生や中学生時代に遊びに行った際、寝室であった和室に飾ってありましたいくつかの人形や道具を頂いて帰ることにしました。
当時の私は古い時計や骨董品といったアンティークを趣味としていたので、年代物の日本人形や祖父母が旅行先で購入していたとみられる物品に違和感は全くありませんでした。
自宅に持ち帰り、頂き物は段ボールにまとめて普段使用しない居間に置いていました。
遺品整理から約一週間が過ぎようかという頃でした。
私は次の日が休みということもあって、夜の12時過ぎまで起きていました。
リビングで静かな空間の中パソコン画面に向かい仕事をしていると、隣の居間から何かワサワサとする物音が聞こえてきたのです。
私は不思議に思って電気のついていない居間を覗くと、そのワサワサとしたものはふっと消えました。
今思うとそれは人形達同士の会話だったのかもしれません。
翌日人形達に新しい置き場を検討し、段ボール箱を開けてみた時驚きました。
複数ある物品の中で日本人形の一体は髪の毛が綺麗に整っていたはずなのに、掻きむしられたような乱れ髪となっており、またもう一体は顔の表情が変わっていました。
うっすらとほほ笑んでいるような顔つきだったと記憶していた人形の顔は、硬く緊張しているような趣となっていました。
私自身、こういった現象を目の当たりにしたのはこの時が初めてでした。
無意識の中でこのまま自宅に置いておくのは良い事ではないと思いました。
次の日私は友人に相談し、人形供養というものがあることを知りました。
祖父母からの形見分けとして頂いたものですが、形あるものには寿命もあると感じた次第です。
私は地元の神社とお寺に足を運んだのですが、諸処の事情から何故かどちらも引き取ってもらえませんでした。
今でこそネットを検索すれば人形達をしっかり供養してもらえる神社やお寺は、たくさん見つかりますが当時はなかなか探し出せませんでした。
ようやく知人からの話で紹介してもらったお寺に引き取ってもらうことになったのですが、それが全部ではなく顔つきが変わってしまったと思われる人形一体は自宅に送り返されてきたのです。
戻ってきた人形と共に、お寺からの手紙が添えられていました。
そこには形あるもの、目のある者には魂が宿り易く人形も然るべきものであること、またこの人形だけお寺から逃げ出そうと夜に徘徊していたことが書かれてありました。
私自身は物理的にはあり得ないと思ってはいるものの、どうすれば良いのか困ってしまった矢先でした。
仕事を終えて立ち寄った居酒屋で友達とこの人形の話をしていた際に声をかけられたのです。
中年の女性でしたが言葉は優しく、人形の処理の方法を親切丁寧に教えてくれました。
私の住んでいるところとは全く縁のない関西方面のとあるお寺でしたが、迷いなく新幹線に乗って足を運びました。
この時は、新幹線の中で人形供養は人のお葬式と変わらないなあと何故か涙を流していました。
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