ばちあたりには土を食わせろ
投稿者:誠二 (20)
短編
2022/02/28
22:39
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田舎の祖父が子供の頃に体験した話です。
当時祖父は9歳でした。祖父の両親は厳しく、朝起きる時と帰ってきた時、寝る前には必ず仏壇に手を合わせてご先祖様に挨拶しろと言い聞かせてきました。
お仏壇にお供えしたお菓子を食べる時はきちんとお下がりの手順を踏みます。
しかしわんぱく盛りで空腹だった祖父は我慢できず、ちょうど親が留守にしてるのをいいことに、その手順をすっととばしてまんじゅうを掴みました。
いただきますも言わずまんじゅうを頬張った瞬間、口一杯に変な味が広がりました。まるで墓土を食べてるみたいだと、何故かそんな経験もないのに連想しました。
「まずい!」
即座に吐き出して困惑しました。まんじゅうの中身のあんこが土に変わっていたのです。
誰かがすりかえたのか?でも誰が?うちには俺しかいないのに……。
帰宅した両親に一口齧ったまんじゅうを見せて訴えた所、父がよく調べて告げました。
「何言ってるんだ、普通のまんじゅうだぞ。中身はこしあんだ」
「えっ?」
「さてはお下がりの儀式を省いたな、ばちあたりものめ。そんなヤツは土でも食っとけ」
父は豪快に笑ったそうです。
仏壇にお供えした食べ物にはご先祖の有難い力を宿るのだと祖父はしみじみ呟きました。
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