綺麗好きな白髪のおばあさん
投稿者:ウェンディゴ (8)
あれは大学2年生の夏のある日の出来事
世の中は携帯電話も無い昭和真っただ中だった。
今でもその出来事を思い出すと背中に変な汗をかいてしまう。
同郷で子供の頃からの付き合いだった幼馴染の神田君とは
お互いのアパートを行ったり来たりする大の仲良しだった。
2年前から別の大学だが同郷の九州からお互い上京してきていた。
朝、起きると寝ぼけ眼で昨晩吸った煙草のシケモクをうまそうに吹かす神田君
ギターをかかえて即興で人を小馬鹿にした歌を作ってしまう神田君
友達以外の第三者にはやたら喧嘩っ早い神田君
首都圏をあっちこっちすぐに引っ越してしまう神田君
そんな神田君がJR山手線の田端駅近くのアパートに住んでいた時の話だ。
神田君は上京して2年足らずでもう3つ目の住処だった。
「神田君、なんでそんなに引っ越すと?」
「うん、選んだアパートが必ずなんか出るっちゃんね」
「出る?ふーん」
その時は、女の子の話題で盛り上がっていたため。あまり深く突っ込んで聞かなかったが
神田君は昔から霊感が強い体質らしく見たり聞こえたりという
話を僕ら友達にして怖がらせていたことを思い出していた。
神田君と違って霊感などほとんどない僕は、神田君の話に興味は持ったが
全く信じていなかった。
その日、僕は大学の同級生田中君と池袋の安い居酒屋でお酒を飲んでいた。
田中君はマジシャン部というサークルに入っていて
覚えたての簡単なテーブルマジックを披露してもらい大笑いをしていた。
勢いに乗って隣の席にいた二人連れの女の子たちと仲良くなった。
今後の展開を予想してニヤニヤが止まらない僕と田中君だったが
近くの女子大に通っているという女の子たちは
終電が近いと言ってあっという間に帰って行ってしまった。
白けてしまった僕と田中君は僕たちも帰ろうかということになった。
女の子たちとの展開に胸を膨らませていたためか、気がつくと夜の12時を回っていた。
お店を出ると夜だというのにむんとする生暖かい空気が充満していた。
風もほとんど吹いていない。
西武池袋線沿線の椎名町という駅の近くに住んでいた田中君とわかれて
山手線のホームへ行くと当時住んでいた川崎へは
たどり着けない時間帯であることがわかった。
田中君のアパートに泊めてもらおうと西武池袋線に行くと
最後の電車が発車したばかりだった。
金縛りって途中で気絶する人が多いみたいだけど、夢と違うのかな?脳波でも測ってみたらわかるのかな?
面倒くさいからムービーでいいですね。