敵を迷わす仕掛け
投稿者:ウェンディゴ (8)
短編
2022/05/31
12:04
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私が小学4年生くらいの時の不思議な体験。
当時、集団登下校の無い学校だったため、各々1人又は友人と通っていた。
2学期を迎えてすぐの事、転校してきた子と一緒に帰るように担任に言われ、いつもの通学路とは違うコースを行き、その子の自宅前で別れ1人で歩いていた。
フッと気づくと、辺りは見覚えの無い風景で、音もなくシーンと静まり返っている。
藁ぶき屋根の大きな農家以外は畑が広がっていて、人は誰もいない。
「変だ!」と本能的に思った私は、半泣きで真っ直ぐ歩いた。
不思議な事に「戻っても、振り向いてもダメだ」と感じていた。
真っ直ぐ歩き、本来なら同級生の家がある突き当りに出た瞬間、一気に近くの用水路の音、農作業中の近所のお婆さんの「お帰り」の声が聞こえてきた。
急いで自宅に帰り、たまたま早く帰宅していた兄に泣きながら説明した。
兄曰く「土手の途中の細い坂から帰った?あそこは昔、殿様を守るために敵を迷わす仕掛けをしてると曾祖父から聞いた事がある」と。
物理的にも迷いやすいが、分かり易く言えば、陰陽道の方違えみたいなものを仕掛けてあると。多分それで、違う時代に行ったのだと。
本当の所はどうなのか分からないが、今思い出しても「帰って来られて良かった」と、背筋が寒くなる。
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