綺麗好きな白髪のおばあさん
投稿者:ウェンディゴ (8)
「そうだ田端の神田君のアパートへ行こう」
JR山手線で池袋から4つ目の駅が田端駅だ。
JR山手線の最終電車にはぎりぎり間に合った。
当時は携帯もないため神田君へ事前連絡を入れることができず
僕は田端駅のホームで最終電車を見送ると改札を出た。
生暖かい夜風にあたりながら10分ほど歩くと
神田君のアパートにたどり着いた。
神田君は2階建ての古い木造アパートの2階に住んでいた。
共同玄関に靴を脱ぎ踏みしめるたびにぎしぎしと音がする階段を上がり。
一番手前の部屋をノックする。
返事もなく人の気配もない。
1時30分を少し回った左腕の時計を見て一瞬固まってしまう。
「え?今日どこで寝ればいいの?」
情けない話、財布の中には千円札2枚と小銭しか入っていない。
次の刹那、神田君がいつも部屋のカギをポストから取り出すの思い出した。
階段を降りると薄暗い中で神田君の部屋の番号のポストを見つけ
手を突っ込むと冷たいカギの感触があった。
ほっとして、そのカギを取り出した。
何とか僕は神田君の部屋に入ることができた。
壁にかかったカレンダーに帰省予定の印があり
丁度今日の日付けから〇がついていた。
気疲れと酔いが重なって急に睡魔が押し寄せてきた。
押入れの布団を取り出すとすぐに横になりいつの間にか眠りに落ちていた。
どのくらい時間が経ったかわからないが
突然、胸の上に重石を乗せられたような息苦しさで目が覚めた。
まだ夜は空けていない。
え?
僕の枕元の上に誰かがいる。
確かに誰かが枕元の上に座っている気配を感じる。
確かめようと顔を上げようとしても首筋の筋肉が硬直してうまく動かない。
息苦しさと恐怖の中で必死に頭を上げようと何度も繰り返す。
僕の枕元の上に誰かがいる。
僕の枕元の上に誰かが座ってる。
恐怖でだんだん頭がパニックになってくる。
もう一度、もう一度、もう一度必死で顔を上げようとした時
やっと枕元が視界に入ってきた。
僕の枕元の少し上あたりに着物姿の白髪のおばあさんが正座をしていた。
次の瞬間
そのあばあさんが覗き込むように僕を見下ろしてきた。
不思議そうに僕の顔を見下ろすおばあさんと眼と眼が合った。
吸い込まれそうな真っ黒い瞳を僕の顔に近づけてきた。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーー-----------」
上半身だけ必死に身体をおこして窓を見る。
窓は外の暗闇のため丁度鏡のようになっていて
僕の枕元の少し後ろの上のあたり、おばあさんが座っているはずの場所に
大きな火の玉が揺れている。
「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
金縛りって途中で気絶する人が多いみたいだけど、夢と違うのかな?脳波でも測ってみたらわかるのかな?
面倒くさいからムービーでいいですね。