同僚の手首についた黒いあざ
投稿者:足が太い (69)
短編
2022/01/17
21:43
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ある時、同僚の右手首に青黒い色をしたあざが付いているのに気づきました。
手首をぐるりと囲むような、まるで誰かに強く掴まれたような形のあざです。
「どうしたの?怪我した?」と、あざのある場所を指さしたのですが、同僚は「え?怪我?どこ?」と、あざに気づいた様子はありません。
「右手首に黒いあざが付いていたから…」と言うと、同僚にはそれが見えないのか、ずっと不思議そうにしているのです。
その日は私の見間違いかなと思って、それ以上何も言いませんでした。
でも、翌日、同僚の右手首を見ると、昨日よりあざが濃くなっているのです。
「やっぱり見間違いじゃないよね。でも、何回も追及するのはお互い気まずいし…」と、黙っていることにしました。
しかし、同僚の右手首のあざは、日に日に濃くなっていきます。
それに比例するかのように、同僚は元気がなくなっていき、とうとう仕事を無断欠勤してしまったのです。
同僚が出勤しなくなって1週間経った頃、他の同僚達が、「○○さん、事故に遭って片手がなくなったらしいよ。それがショックで休んでたんだって」と、話しているのが聞こえました。
どうやら同僚は交通事故に遭い、その時の怪我で手首から先を失ってしまったのだとか。
その失った手は、あざのついていた右手だったのです。
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