くちゃくちゃおばさん
投稿者:峰 (38)
日本全国どこの地域にも、「有名な変な人」というのがいる。
例えばいつも全身ピンクの服を着ているので「ピンクおばさん」と呼ばれている中年の女性とか、一人でブツブツ喋りながら徘徊している「ブツブツじいさん」とか。
これは知人のDくんから聞いた、そんな「変な人」にまつわる怖い体験談である。
Dくんが小学生の頃、その地域では「くちゃくちゃおばさん」と呼ばれる中年女性が頻繁に目撃されていた。
見た目は50代後半くらいの、ぽっちゃりとしたおばさん。
スウェットの上から薄汚いパーカーを羽織り、足元は裸足になぜかギャルが履いていそうなド派手なビーチサンダル。
お風呂に入っていないのか、近づくとすえたような匂いがするらしい。
そのおばさんが、だいたい夕方の5時ごろになると、日除けの覆いがされて中身が見えないボロボロのベビーカーを押しながら、小学校の周りの住宅街を練り歩くのだと言う。
それだけでも不気味なのだが、一番気味が悪いことには、おばさんは常にくちゃくちゃと何かを噛んでいるような音を立てているのだそうだ。
何を食べているのかはわからない。ガムとか、ビーフジャーキーとか、とにかくそういう噛みきれない何かをずっと噛んでいる音が、まるでわざと音を立てているみたいに、クッチャクッチャと大袈裟に、やたら大きく聞こえるのだと言う。
ただ、おばさんが子どもに声をかけたりだとか、接触したりだとか、何か危害を加えると言った話はまったくなかった。
ただくちゃくちゃ音を立てながらベビーカーを押して町を徘徊するその姿が不気味だということで、おばさんは有名なのだった。
さて、Dくんは小学生の頃、悪ガキとして名を馳せていた。
ヤンチャな友人とつるんでは、親や先生に怒られるようなことばかりをしょっちゅうやらかしていた。
本人も、毎日「次はどんなことをしでかしてやろうか」と考えていたらしい。
ある日Dくんが友人と遊んでいると、仲間の一人がこんなことを言い出した。
「なあ、俺さあ、この間くちゃくちゃおばさんを見かけたんだけどさあ」
くちゃくちゃおばさんはその辺りではとても有名なので、みんな何度も見たことがある。
「それがどうしたんだよ。俺だってこの間見たぜ」
Dくんがそう言うと、その子は「いやいや」とこう続けた。
「あのおばさんってさ、いっつもそこら辺歩いてるけど、喋ってるところは誰も見たことないだろ。だからさー、俺、あのおばさんがどんな声してるのか気になってさ。驚かしてやろうと思って、後ろから“うわっ!”て大声出してやったんだよね」
なんという発想だろう。
あの見るからに不気味なおばさんにちょっかいをかけるなんて、誰も思いつかなかった。
Dくんたちは皆その子を尊敬の眼差しで見た。
「で、どうなったの」
「それが、全然ダメ。びくともしないんだよ。でもさ、あいつ、一瞬こっちをジロって睨みつけてきやがったよ」
「うわー、怖えー!」
「だろ。だから俺、そのまま走って逃げたんだよ」
Dくんはここぞとばかりにその友達をからかった。
「なんだよ。意気地ねーなあ。じゃあ、次は俺がやってやるよ。くちゃくちゃおばさんにキャーッて悲鳴を上げさせてやるよ」
怖い!きもい!
Dくん度胸ありすぎでしょ…
きもこわい
おばさんの突き抜けた異様さに目が行きがちですが、Dくんも大概ですよ。他人に飛び膝蹴りして、しかも顔に怪我を負わせるだなんて、傷害罪(少なくとも日本では)ですからね。相手がキモかろうが、暴力を振るう権利はない。
子供とはいえ、つまらない欲求の為に反社会的
行為に手を出したのだから、自業自得のお話でしょうよ……。
Dくんのが怖いな…
Dくん、飛び蹴りを親しくない人にできんのスゲェ〜
飛び蹴りかまして怪我させただけでも傷害な上に
ベビーカー押してるとなると死人出る可能性がバリバリあるんやが…。
激ヤバ君やん…(´・д・`)