とある組の死体処理担当
投稿者:イエティ (51)
死体処理については彼の今までの知識やホームレス生活中に仕入れた知識だった。
もちろん、医学や生物学を学んでも死体処理のことを学べるわけはない。
彼の復讐のプランはこうだった。
まずはあの組より大きく、それでいて大きすぎない組の専属の医者や死体処理をして働く。
ある程度の信頼と実績を積み重ね、そこで得た権力や武力を行使しあの組に復讐する。
第1段階は簡単に組長に承認された。
大きな組では専属の闇医者や、買収している病院があるものだが、Z組にはそれがない。
死体処理に関してもなかなかパイプがない。
中堅クラスの組だからだ。
Z組の直系であるもっと上の組が所有する病院や死体処理班はあるが、使わせてもらうにはあまりに多くの金がかかるらしい。
かといってそう簡単に人材が見つかるわけでもない。
彼は、戦略的に組の拡大を目指すZ組にとっては願っても無い人材だったわけだ。
そこから彼は組員というわけではないが、なかなかの権力を持つことになる。
いわゆるフロント企業の役員として登録され、せわしなく働く日々だった。
しかし、治療はまだしも死体処理に関しては心労がひどいものだった。
処理自体にひどい罪悪感を抱くのはもちろんだった。
時に、担いだ死体が動くことがあったらしい。
うめき声が聞こえることもあったらしい。
気のせいだ、こいつは死んでいると言い聞かせ彼は自分の仕事をした。
死体を車に積み込み、数時間かけて山奥へ。
50kg~100kgほどの死体を担いで、数メートルの穴を掘り、埋める。
もしかしたら知り合いが、あのやらかしたあんちゃんが、と考えると死体を見ることはできなかった。
目をつむりながら、埋めていた。
決して引きずってはならないらしい。
血や体液が漏れないよう袋に入れ、痕が残らないよう必ず担ぐ。
基本は1人、多い時は4人分の死体を同時に処理したらしく、何十キロにもなる死体を、車から1時間~2時間かかる山中まで足場の悪い道を往復し埋める。
めちゃくちゃ読み応えありました
ヤクザ×心霊
どちらも社会の暗部、アングラな想像力を掻き立てる要素故に、とても相性がいいものですね。
非日常感がいい塩梅に描き出されていて面白かったです。