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心霊

こよりさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ある旅館での怖い話
長編 2021/12/01 18:34 3,217view

父は呼吸を整えつつもしばらく呆然としていました。

幽霊などの存在を信じていない父でさえも、否定することができないような強烈な体験となっていました。

そして、父はつい先ほどまで感じていた違和感、重さ、感覚を思い出し震え上がりました。

「あれは一体なんだったんだ…。今までに感じたことのない感覚だった。確かに疲れていたのは事実だが、あの重みを感じることも、その重みが移動してくるのもリアルに感じていた。むしろ今でも鮮明に身体にあの感覚が焼き付いている。一体どういうことなんだ…。」と、頭を一生懸命整理させようと必死だったそうです。

そして、電気を消す前に違和感を感じた部屋の隅を恐る恐る見てみました。しかし、そこにはもちろん何も見えず、違和感を感じることもありませんでした。

しかし確実に、この部屋の中に父とは別の「何者か」がいたのです。

部屋を変わって欲しい気持ちでいっぱいでしたが、時間も深夜の2時過ぎということもあり、迷惑になると考えた父は仕方なく同じ部屋でまた寝ることにしました。

しかし、普段、電気を全て消して真っ暗にしないと眠れない父が、その日は部屋の電気を全てつけて恐る恐る寝たそうです。

そうでないと、怖くて眠りにつけるような状況ではなかったと言っていました。

なんとか無事に朝を迎えた父は、この部屋で何か起こったに違いない!こんな部屋にとまらせやがって!と文句を言うためにフロントに出向きました。

そのフロントに立っていた中居さんに昨晩の出来事を一言一句逃さずに伝えたそうです。

すると父の話を聞いた中居さんは一気に顔が青ざめて下を向いてしまいました。

そして「…そうですか。特にあの部屋に問題はありません。お客様がお疲れになっていたからですよ」と言葉を濁しただけで詳しいことは教えてもらえなかったとのことです。

しかし父は絶対にあの部屋で何かあったはずだと言っていました。

それ以降、父はその旅館はもちろん、その旅館の近くにも行かないようにしたとのことでした。

幽霊や心霊現象を信じていない父ですが「あのときは間違いなくいたと思う。もう二度とあの旅館には行きたくない」と私に言ってきます。

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