背中をさする手
投稿者:こより (3)
短編
2022/01/02
10:11
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私の知り合いの話です。
もう数年前になりますが、ある日知り合いは、電車で数駅先の居酒屋で飲みに行っていました。
しかし私の住む地域は田舎で終電がとても早いため、この日は終電の遅い違う路線を使って一駅分歩くことにしたそうです。
寒いし遠いし面倒だなと思いながらも、1人で深夜に歩いている途中、飲みすぎたためか、歩いていたためか酔いが回り、急に気持ち悪くなって道の脇にむかってしゃがみ込んだそうです。
そして俯いて地面を見ていると、急に誰かに背中をさすられた感覚を覚えたそうです。
気持ち悪くて具合の悪い中だったので、「すみません、ありがとうございます」そう言って振り向いたのですが、そこには誰もいませんでした。
えっ、と思ってよくみると、その場所はこの日の少し前に移転し、更地となっていた火葬場の跡地の道路を渡ってすぐの場所だったそうです。
酔った中での気のせいだったのか、火葬場の幽霊がいたのか。
この火葬場は地域の人のほとんどが利用していました。
私の家も、知り合いの家もおそらく。
なので幽霊だったなら、知ってる人だったのかもしれません。
いずれにせよ、飲みすぎて具合の悪い知り合いの背中をさすってくれるなんて優しい人ですよね。
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