真紀の生霊
投稿者:夕暮怪雨 (11)
智子さんには、真紀と言う会社の同期がいた。真紀とは仲が良く、頻繁に出かけたそうだ。ただ、ある出来事により智子さんは彼女と距離を置く事になった。それは枕元に真紀が立つようになったからだ。最初は夢だと思った。ある日、智子さんが寝ていると、何やら側で気配がした。瞼を開くと、智子さんを見下ろす真紀の姿があった。彼女は無表情でジッと智子さんを見つめていた。ただ真紀の身体は淡いピンク色に染まり、何か暖かい雰囲気を感じた。智子さんが声をかけると何も言わずに姿を消した。翌日、会社で真紀に会ったが変わった様子もない。それからすぐまた、枕元に真紀が現れた。今度は濃いピンク色に染まっていた。やはり何も話さない。「あなたが夢枕に立つの」そんな事を直接聞くわけにもいかない。その事を彼氏に相談すると「その女の生霊に取り憑かれてるんじゃないか?」と真剣な顔で話された。その言葉が頭にチラつき、気味も悪い。気づけば真紀を敬遠していた。
そんなある日の会社帰り、真紀に呼び出された。話を聞くと、予想もしない内容だった。
彼女は智子さんに恋愛感情を抱いていたのだ。話しの内容も愛の告白だった。智子さんはハッキリと「自分には異性の彼がいる事、同性とは付き合えない事」を伝えた。真紀は肩を落とし、無言でその場を去った。やはり生霊だったのか、あのピンク色は真紀の気持ちの変化を表していたのか。智子さんはそう思った。でもこれで彼女が枕元に現れる事はなくなる。そんな期待を持った。
それからすぐ真紀が会社を辞めた。
理由は一身上の都合だったが、あの時の事が原因では?と感じたそうだ。それから彼女が枕元に立つ事もなくなり、智子さんは全てが解決したと思った。しかし、しばらくして彼女が毎晩現れる様になった。目を大きく見開き、顔が崩れる程の満面の笑みで智子さんを見ていた。ただ鮮やかな色ではなく白黒だ。それが不思議だった。
そのうち彼女は日中も現れ始め、智子さんの側を離れなくなった。次第に智子さんの精神は疲弊し、仕事も辞め、彼とも別れた。今は狭く暗い部屋で引きこもる生活を送っている。会社を辞めた後の真紀の消息は誰も知らない。智子さんは電話口で「彼女は既に亡くなっているはずです。だから白黒に見える。魂が私に取り憑き、もう離れないかも。」と私に話した。今でも真紀は、顔が崩れる程の笑顔で智子さんを見つめ、片時も離れない。
怖すぎる・・・。やば・・・。
怖すぎる!!
怖かったです