奇妙なマンションの外階段
投稿者:峰 (38)
女はドンドン距離を詰めてくる。
アハハハハハハハ!
アハハハハハハハ!!
狂ったような女の笑い声まで聞こえてきて、その声がすぐ背中の後ろまで追いつく。
もうダメだ!と思った瞬間、目が覚めるのだそうだ。
いつも、夢とは思えないほど生々しい声が耳に残っていて、Aはグッタリとして起きるそうだ。
そんな夢を、数ヶ月に一度、忘れた頃に何度も何度も見ていたのだという。
何かの映画か漫画で見たワンシーンが記憶に残っているのかな、嫌だなあ、とAはうんざりしていた。
そんな時のことである。
Aの会社に、中途採用の新人さんが入ってきた。
Aよりかなり年上の女性で、大人しくて真面目な人だった。いや、大人しいというより、暗いといったほうがいいだろうか。
仕事はちゃんとするのだが、いつも俯いてボソボソと喋り、笑顔もほとんどない。話しかけてもそっけない。
変わった人だなー、と思ったそうだが、なんとAはその女性の教育係に割り振られ、しばらくつきっきりで仕事を教えることになった。
ずっとつきっきりだったからだろうか。
その女性は、暗いなりにもAに懐いたというか、一番心を開いている感じがしたという。
しばらくはそのまま良好な関係を築いていたが、だんだんと、なんとなく女性はAに気があるような素振りを見せるようになった。
女性は別に悪い人ではないが、いかんせんAよりもだいぶ年上だったし、年下がタイプのAからすると恋愛対象にはできなかった。
ただ、はっきり告白されていないのに振るわけにもいかないし、一応年上なので失礼もできない。突然冷たい態度を取るのも同じ職場の人間として避けたい。
そこで、脈無しですよ〜というのをやんわり伝えようと、のらりくらり女性のアピールを躱していたそうだ。
そんなAに女性も業を煮やしたのだろうか。
ある日、女性が体調不良で休みを取った。
そして、その日の終業時間ごろ、Aの個人連絡先に女性からメールが届いた。
熱が下がらずとてもしんどい。一人暮らしで頼れる人もいないので心細い。迷惑でなければ飲み物と食べ物を買ってきてもらえないか。そんな内容だったそうだ。
ヤバいなー、とAは思った。
確実に家に誘われている。
一人でのこのこ行くほどAも馬鹿ではない。
でも、体調不良で他に頼れないと言っている女性を無碍にするのも良心が咎めるし、この先角が立つようで嫌だ。
そこでAは、さらに上司の女性Bさんに事情を説明して、一緒についてきてもらうことにしたそうだ。
Bさんは既婚者でお孫さんもいる年齢。変に巻き込むこともないだろうと考えたらしい。
Bさんと2人で差し入れを購入して、Aは女性の住むマンションへと向かった。
予知夢の一種なのかな?
予知夢に近いですね。
こういう人と出会うというメッセージだったのかも┅?