初めて付き合った遠距離恋愛の彼女

そこで自分は衝撃的な話を聞かされる。
若いころ自分と付き合っていた元彼女はその後もメイド喫茶のアルバイトに行っていたようだ。
あるアルバイトの帰りの夜に飲み屋が続く繁華街の裏路地で複数の男性達から強姦されてしまった。
もともと精神的に脆く弱かっただけにしばらくひきこもり状態になり自室で自傷行為と鬱々とした文章や絵を描き続けたそうだ。

そしてある日、リストカットの傷が深過ぎて家族が気付いた時には出血多量で意識を失い病院に搬送されるも結局亡くなってしまった。

自分は話を聞いて半分理解できずにパニックになったまま、和室に招かれ彼女の遺影を見た瞬間一気に泣き崩れた。
そこには男性の遺影もありお父様だそうだ。
そしてお母様はガンが見つかり入院しているとのこと。
妹さんにお墓の場所に連れていってもらいお参りをした。
お詫びをしたあとに自分の地元へ帰省をした。

それからというもの夜に不思議で怖い夢を見るようになった。
元彼女が夜中に階段を上がって自分のもとへ来ようとする。
また場面が変わって元彼女の幽霊が部屋に居るのに当の自分は全くそれに気づいていない毎日が何年もずっと続いている。

そんな夢を繰り返しみるようになってきて自分も精神的にまいってきていた。
夢がエスカレートしてきて元彼女が自分に「お前も死ぬって言ったんだからお前も死ね」「自分1人は寂しいから死んで一緒になろう」「私が味わった苦痛をお前もあじわえ」そんな責められる夢を見るようになった。
そして妹さんから聞いた強姦されたときの話の影響か自分が男達に襲われ身勝手に犯され裸のまま投げ捨てられていった夢も不意に見た。

そんなモヤモヤした毎日が経ち桜の花が咲く時期が来ていた。
疲れており人生も全然上手くいかず不意に父親と山へドライブへ行き滝と山桜が咲き散るのを見ていた。

滝のたもとに一体のお地蔵さんが彫られていて自分は手を合わして元彼女の事を祈った。
するとスーッと爽やかな風が突然に吹き抜け桜の花びらが舞い散る。

舞い散った桜の花びらを目で追うと頭上に綺麗な青空があった。
不意に元彼女がにっこり笑顔になった気がした。
そしてなんとなくお別れの時が来たような気がした。

その日の夜不思議な夢を見た。
元彼女が今まで悪夢と違い取り付かれたのが取れたように生前のように元気な姿でいる。
「悲しむからもうこれ以上のことは言えない。ただずっと孤独だった事を知って欲しかったのと母はもう長くないから妹のことをたまに私と共に気にかけてね」
そんな夢だった・・・

それからピタッと悪夢を見ることもなくなり月日が過ぎていった。
不意に思い出すと心の中で祈る。
ちなみにお母さんはそれから亡くなったが妹さんは高校時代から付き合っていた彼と結婚をした。
自分は安心しながら妹さんを彼に託した。