真っすぐズルっと引っ張られる
投稿者:橙 (1)
私が高校生の頃、20年以上前、実家のベッドで本を読んでいた時に起きた出来事です。
私の実家は父の代で増改築するまで、祖父が建てた木造建築の古い日本家屋でした。雨戸は木製。窓ガラスは木の桟の摺りガラス入りの今では珍しいものでした。
その当時、やっと出来た自分の部屋で好きな本を読むことが本当に好きで、毎日学校から帰ってくればベットの上に寝転がって読むという生活でした。
部屋のドアはガラスがはめ込まれ、ドアを閉めても部屋の内が覗けるタイプで私は監視されているようで嫌いでした。
ベッドは部屋の入口の反対側の壁際、寝転ぶと頭側と右手側は壁際となるように設置しました。
ドアのガラスから部屋を覗くと机やベッドは丸見えでした。
そこで私はベッドの周りに本棚代わりのカラーボックスを置き、直接姿が見えないようにしておきました。
足元側はクローゼットで、ベッドとクローゼットの間には、収納BOXを置いており、ベッドへは入口側からしか寝ころべない配置でした。
いつものように夕食後ベッドに寝転がって本を読んでいました。何回か体制を入れ替えて、枕に頭を乗せ天井を向きながらの姿勢で本を読んでいた時、両足を掴まれ足元側に真っすぐズルっと引っ張られました。
一瞬の出来事で、最初何があったか良く分かりませんでした。頭が枕から落ち、どのぐらい引っ張られたのか。
心臓がドキドキして、びっくりを超えた恐怖で体が動かなく、自分息遣いだけが聞こえる世界。
キーンと耳鳴りもしているような、実際には2,3分だったと思いますが、なんとも長い体感の時間を過ごし、右腕を上げ枕から落ちた自分の頭と枕の距離を測ると、丁度腕2本分くらいの距離でした。
起き上がりクローゼット前になる収納BOXを見ましたが何の変化もなく、勿論誰もいませんでした。
ただ、両足には掴まれた感触がきちんとあり、枕は枕カバーにしていたタオルごと、綺麗にひっくり返ってました。
足元には人が入れるスペースもなく、誰かが私の部屋に入ってくれば分かります。部屋が片付けられなくて、足の踏み場もない私の実家の部屋だったので、音もなく忍び寄れませんし、その当時家には、私、母、祖母しかおらず、祖母は2階の私の部屋には足が悪く来れませんし。母は私の汚い部屋を嫌ってましたので近寄りません。
ただ真っすぐにスルッと引っ張られただけなのに、あれから20年以上たっても忘れられない不思議な出来事でした。
ベッドの下におっさんが居たんだろか?