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ビザールさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

心霊スポットの警察官
短編 2026/07/05 19:43 42view

小学生の頃の話。

 俺はN県の田舎で育った。結構な田舎で、地域によってはショッピングモールどころか徒歩圏に自動販売機すらない始末だ。家もそれほど裕福じゃなかったからゲームを持ってなかった俺は、よく友人のAとBと裏山の探検や川遊びをしてた。そしてなんとなく良さそうな場所を見つけたら秘密基地(石や木を並べただけ)を作るっていう遊びを繰り返していたんだ。

 けど、そんなことばっかりしてたらやっぱり飽きてくるわけで、高学年になる頃には刺激を求めて家から30分くらい歩いた山とかを探検するようになった。それでも、山を変えたところで特段新しい刺激があるわけでもないので毎日退屈してた。

 ある日、家で兄に家から少し離れた場所にある今は使われていないトンネルについて聞かされた。そこは心霊スポットで、兄が言うには「幽霊がめっちゃでる」との事だった。

 刺激に飢えていた当時の俺は大興奮。次の日学校ですぐにいつもの友人たちにその話をした。怖がってるやつもいたが結局すぐ探検しに行こうということになった。ただ流石に夜家を抜け出す勇気はなかったので夕方に行くことにした。

 そして決行日。みんなリュックにお菓子やジュースなどを入れて例のトンネルに向かった。確かに俺たちが住んでいたところからは少し遠かったが、学校がない日だったし、今までの冒険で嫌というほど歩いてきた俺たちからしたら楽勝だった。俺たちはあっという間に目的地のトンネルに到着した。しかし、トンネルを目にした俺たちはガッカリした。トンネルが門で塞がれているのだ。そりゃもう使われてないって言われてるんだから当たり前なんだけど当時の俺たちは知恵がそこまで回らなかった。せっかくここまで来たんだから入らずにいられるかとみんなで何とか門を越える方法を考えた。

 門を越えるために「肩車をしてよじ登るぞ」とか「足場になるようなものを探そう」などと色々話し合ってる時、急に大きな笛の音が鳴り響いた。散々調子に乗ってた俺たちだったが、その時ばかりは流石に心臓が飛び出んばかりに驚いた。「背筋が凍るというのはこの事か」と考えていたのを覚えている。恐る恐る笛の鳴った方を振り返ると、そこには警察官が立っていた。俺は言い知れぬ不安を感じた。その警官は俺たちのすぐそばに立っていたのに、気配を感じなかったどころか足音すら聞こえなかったからだ。本当に何も無いところからヌッと。

 「君たち何してるの」と警察官が囁くように言った。幽霊や化け物じゃなかったから一安心したものの、当時は子供だったので、勝手にこんなところにきたものだから逮捕されるんじゃないかと本気でヒヤヒヤした。けどそれとは別に俺はその警察官に何か正体不明の違和感を感じてたんだ。服が異常にボロかった(というより古かった?)っていうのもあるんだけど、それとは何か違う違和感。「何か変だなこの警官」と思うも束の間警察官が意外なことを言った。

「早くトンネルに入りなさい。」警察官はそう言った。聞き間違いか?と考える間もなく警察官は再び「トンネルに入りなさい!」と怒鳴った。俺たちはお互い「え?え?」みたいな感じでお互いを見てた。その間にも警察官は「トンネルに入りなさい。」と繰り返し叫んでいた。最初は叫んでたんだけど、繰り返すにつれてだんだん俯き始めて、声の生気も無くなり最後にはつぶやくようになっていった。そして急に顔を起こしてすごい形相でこちらを睨みつけたと思ったら、急に穏やかな顔で「入らないよね」と呟きその場から立ち去った。

 俺たちは半ば放心状態のようになり、誰が言い出すでもなくその場を後にした。行きはあっという間に感じたのに、帰り道はとても長く感じた。誰も起こった出来事について話そうとしなかった。

 次の日、Bが話があると言って、俺とBを集めた。Bの父親は警察官だったので、あの出来事が起こった夜に父親にその話をしたらしいんだ。しかし普段は優しい父親はまともに話を聞いてくれなかったらしい。Bがそのことを指摘すると父はこんなふうなことを言ったらしい。「つくならもっとマシな嘘つけよ。その時間に警察官が1人でそんな場所にいるなんてありえねんだから。それにこんな田舎にそんな変な警察官いたら俺が知らねえわけねえだろ。」

 その警察官の正体についてAとBは真剣に議論していた。最終的には「普通の警察官が俺たちを怖がらせるためにわざと変なフリをしていた。」とう言う結論に落ち着いた。俺は特に異論を出さなかったが、実はAとBに言っていないことがある。あの出来事をなんども振り返って、あの警察官に対して感じていたなんとも言えない違和感の正体に気づいたんだ。あの警察官、耳がなかったかも知れないんだ。

 ここからは大人になってから調べた話。俺たちが行ったところはネットで調べたら一発で出てくるくらいには有名な心霊スポットだった。そのトンネルは戦前から、建設時の崩落事故や列車の火災事故など大きな事故が何回か起きてい何百人と人が亡くなってるんだと。ただ、耳のない警察官に関しての情報は一切見つからなかった。結局警察官の正体も、なぜ俺たちをトンネルに入れたがってたのかもわからなかった。あの警察官は一体なんだったんだろう。

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