小屋
投稿者:黒猫 (4)
まだ僕が小学生だった頃の夏、僕の母親の方の本家に行くことになった。(ただのおばあちゃんの家)
その家は不動産をやっていて、分家の中でも貧乏だったうちとはえらい違いだった。
その中で絶対に入っちゃいけないって場所が1箇所あった。
確か、庭の西側の隅っこにあった、木でできたそれこそ公園とかにある公衆トイレのような小さいものだったと思う。
大分古いようで、木はもう朽ちていて崩れかけていたが、絶対に壊そうとはせず昔の僕は不思議に思ってた気がする。
そしてある年の夏休み、僕は婆ちゃんちに行くことになった。
僕は久しぶりにはとこに会えるということと、婆ちゃんから小遣い貰えることで、すごく嬉しかった。
はとこは、kちゃんって言ってちょっとイタズラ好きな、可愛い女の子で僕より2つ年上。
僕が婆ちゃんの家に着くと、まだはkは来ていないようだった。
「ごめんください!」
小学生だった僕は元気に挨拶したと思う。
「よー来たね」
久しぶりにあった婆ちゃんは、何時もみたいにしわくちゃに笑いながら僕を迎えてくれた。
確かたわいもない近況報告をして、婆ちゃんから小遣いをもらって、後は暇つぶしにテレビを見てた。
2時間ぐらいしてから、kが来たようだった。
kが挨拶した声が聞こえて、僕もうれしくなって玄関にかけて行った。
kは僕を見ると屈託のない、笑顔でこっちを見た。
僕はkとたわいも無い話をした。
そして1時間ぐらいしてから庭で遊ぼうって話になった。
僕らは、婆ちゃんに庭で遊ぶって話をしたら婆ちゃんはいつも通り
「庭にある小屋にだけは近ずいちゃ行かんよ」っと言った。
いつも笑顔なばあちゃんが、この話をする時だけはちょっと険しい顔になるから僕は子供心に怖いなぁって思っていた。
ぼくはkに
「kちゃん!何やるしようっか!ゴム飛び?かんぼっくり?」
と聞いた。すると、kはちょっと不敵な笑みを浮かべて
「探検なんでどう?」
「探検!良いね!どこ行く?近くに怖いトンネルあるよ!」
「わざわざそんなとこ行かなくてもいい場所あるじゃん」
この時は僕は頭が悪くて、どこに行こうとしてるのかは分からなかった。
そしたらkは、やれやれみたいな顔して
結局kはどーなったん?
なぜ戦わなかったんだ?
なぜKを助けなかったんだ?
防空壕か座敷牢かなんかだろ?