古い旅館と創業者の霊
投稿者:イエティ (51)
旅行先での話。
21歳の頃、友人2人とある島に旅行に行ったんだ。
その島は釣りで有名で、人口は2~3万人くらいの規模。
中心地にはスーパーはもちろん某有名焼き肉チェーンだったりカラオケチェーンだったりもあって、まあ普通に栄えている島。
ただ、中心地や、フェリー乗り場以外の海沿いはぼろい民宿やさびれた定食屋しかなくて、コンビニも遠くてかなり不便。
俺らの目的は釣りだったんだが、突発的に組んだ予定だったせいでフェリー乗り場付近の宿が取れず、島の反対側のぼろい旅館に宿泊することになった。
島に上陸しレンタカーを借りて宿を目指すこと1時間。
ぼろい外観に萎え気味だったが、いざ中を見てみると意外に小綺麗で、
縁側や温泉にどこか懐かしさを感じる良い旅館だった。
案内してくれたお姉さんも美人で、逆にここでよかったと思ってた。
ただ、駐車場には俺らの車しかなく、他の客が全くいないことは気がかりだった。
別に心霊系を心配してたとかじゃなく、設備とか温泉とかがしょぼいのかな?とかそんな感じで。
夕方から夜にかけて釣りをし、22時を回った頃に宿に戻った。
さすがに遅めのチェックインをした他の客がいるかな~と思ったが、駐車場は変わらず1台も停まっていない。
玄関を開けると看板猫が出迎えてくれたが、微動だにせずこっちをじっと見ている様子が、どこか不気味に感じた。
温泉に入り、部屋の机に酒やつまみをずらりと並べた。
宴会を始める前にちょっと散策しよう、ということになり、旅館に中を散策した。
かなり狭い旅館で、2分くらいで端から端まで行けてしまった。
卓球部屋もあったが、22時を回っていたためか鍵がかかっていた。
俺らはオレンジ色の電球が灯る雰囲気のいい縁側に腰かけ、その日の出来事を振り返ったり、翌日の朝にどんな釣りをするか話し合ってた。
そろそろ飲むか~と立ち上がろうとしたその時だった。
縁側にはカーテンが閉められていて、外は見えない。
ドンっと窓をたたくような音が聞こえた。
正直、旅館周辺はかなり古い建物も多く、夜になってから不気味な雰囲気を感じていたためなおさら恐怖だった。
3人で顔を見合わせた。
俺は強がって「野良猫だろw」と言ったが、内心ビビりまくっていた。
そして一人の友人(以下S)が、これ見よがしに怪談を語り始めた。
Sは心霊系を一切信じておらず、ホラー映画やテレビでやってる恐怖映像なんかを見ても何も感じないような男だ。
ビビりな俺ともう一人(以下T)は本気でやめてほしかったが、何となく強がって怪談話に便乗してしまった。
これが間違いだったのかもしれない。
上手いなぁ、最後に残る正体不明の恐怖、好き