ついさっき起きたことを、順番に説明しました。
B君が帰ると言ったこと。
公園の出口へ向かったこと。
何度声をかけても振り返らなかったこと。
そして、道を曲がって見えなくなったこと。
しかし、話を聞いたB君は、ますます困惑した様子だったそうです。
「いやいや、何言ってんの? 俺、ずっと後ろにいたって」
どうやら、本当に話が噛み合わないのです。
そこで、友達の一人が尋ねました。
「じゃあ、お前、今まで何してたんだよ?」
するとB君は、自分が何をしていたのかを説明し始めました。
みんなでお寺へ戻ろうと歩き出したとき、B君は、すでにみんなの後ろのほうにいたそうです。
そのとき、帽子を忘れたことに気づき、一度取りに戻った。
帽子を持って、みんなのところへ戻ってきたところ、池谷さんたちが集まって、何やら騒いでいたそうです。
「おーい!」と誰かが叫んでいる声も聞こえた。
何事かと思い、後ろから様子をうかがっていたのだといいます。
つまり、B君は自分が帰ったことなど、一度もないと言っているのです。
しかも、不思議なことに。
B君は、池谷さんたちが見たという、自分が帰っていく姿をまったく見ていませんでした。
反対に、池谷さんたちも、B君が後ろに戻ってきていたことには、まるで気づいていなかったそうです。
B君が公園の出口を出て、姿が見えなくなってから。
背後でB君の声が聞こえるまで。
誰一人として、B君がそこにいることに気づかなかったのです。
池谷さんは、こう話していたそうです。
「俺たちは、確かにBが帰っていくのを見たんだよ。全員で見ていたんだ。なのに、本人はずっと後ろにいたって言うんだから……」
いくら考えても、説明がつきません。
誰かがふざけていたわけでも、B君が隠れていたわけでもありません。
その場にいた全員が、B君が帰っていく姿を見ていたのです。
それなのに、本人だけは、そんなことは一度もなかったと言う。
さすがに、池谷さんたちも怖くなってきたそうです。






















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