やがて、誰かが不満そうに口を開きました。
「何だよ、あいつ……」
「これからキャンプだっていうのに、いきなり帰るとか何なんだよ!」
怒っているような、呆れているような。
そんな声が聞こえ始めた、そのときです。
「あれ? 俺、いるよ?」
背後から、そんな声が聞こえたそうです。
池谷さんたちは、一斉に振り返りました。
そこに立っていたのは――。
B君でした。
「……え?」
誰も、すぐには言葉が出なかったそうです。
さっきまで、確かにB君は目の前にいました。
帰ると言って、公園の出口へ向かって歩いていった。
池谷さんたちは、その姿を見ていたのです。
声もかけました。
返事も聞きました。
そして、B君が道を曲がって姿を消すところまで、全員で見届けていたのです。
それなのに。
どうして、B君がここにいるのでしょうか。
池谷さんは、思わず尋ねたそうです。
「……えっ、何でいるの?」
するとB君は、何を言っているのか分からないという顔で答えました。
「何でって……。ずっと後ろにいたじゃん」
「……は?」
今度は、池谷さんたちが何を言われたのか分からなくなりました。
「いや、だって、お前……今、帰っていっただろ?」
「はぁ?」
B君は、本当に心当たりがないような様子だったそうです。
もちろん、池谷さんたちは納得できません。
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