何故なら、スープの量がやけに少ないからだ。
(なんじゃこりゃ?!)
見た目、完全にインスタントラーメンにしか見えなかった。
スープが少ないからあの縮れた白っぽい麺が浮いて盛られて見えた。
チャーシューは見事なまでにハムで、ネギが三切れだけ入っていた。
ハッキリ三切れと数えられた。
だいたいトッピングして一枚?
それじゃあ普通のラーメンはネギが三切れだけなのか?…
家庭で作るインスタントラーメンより侘しいじゃないか。
しかも800円!チャーシュートッピングしたら1000円だ!
今でこそラーメンが1000円突入時代だと騒がれてるが、この店は二十年以上前に時代を先取りしていた!
(これ原価いくらよ…)
しばらく割り箸を持って躊躇っていると、カウンターの中の厨房からマスターが見ていた。
ラーメンはまずスープからというしきたりは踏めなかった。掬う程スープがない。
しかたなく一口麺を啜った…
(ゲェーッ!!)
入店したことを最大に後悔した。
予想通りインスタントラーメンだが、作り方が下手すぎる!
だいたい…
ぬるいっっっ!!
視界の隅にマスターが見ているのがわかっているので顔には出せなかった。
しかし、これは二口目は完全に無理だった。
なぜだか急に台所でラーメンを煮る母親の姿が脳裏に浮かび泣きそうになった。
そっちの方が具だくさんで100倍うまい!!
チャーシューを半分噛った…
なんだか全身に寒気がした。
食べ物を口に入れて寒気が走る経験をしたのは初めてだった。
あの味を言葉で的確に表現できる人がいたら、ノーベル文学賞を取れるはずだ。
(まずい…見られてるし残しにくい…)
そもそも食べ物を残すのは嫌いなのだ。





















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