「……え?」
「そのまま部屋の外に出てった」
一瞬、何を言われているのか理解できませんでした。
僕の記憶では、僕はずっとあの部屋の中にいました。
壁際にいとこを追い詰めて。
そこで返事がなくなって。
背後から女の声を聞いた。
それなのに。
「兄ちゃん、目隠ししたまま廊下を歩いていったんだよ。俺、最初ふざけてるんだと思って、笑いそうになった」
いとこは続けました。
「でも、そのままずっと帰ってこなかった」
「どれくらい?」
「分かんない。子どもだったから。でも結構長く感じた」
やがて、僕の声も聞こえなくなったそうです。
怖くなったいとこは、ゲームをやめて僕を探しに行こうとしました。
立ち上がろうとした、そのとき。
音がした。
「たぶん……仏壇のある部屋の方だったと思う」
実家には、僕たちが遊んでいた和室から廊下を挟んだ先に、祖父母の仏壇を置いている部屋があります。
普段はほとんど使いません。
「そこから、すごい音がした」
いとこの声が少し震えました。
「ドタドタって。誰かが走ってるみたいな」
僕は、何となくその先を聞きたくありませんでした。
でも、いとこは続けました。
「それと一緒に声がした」
「……何て?」
いとこが僕を見ました。
「兄ちゃんの声で、『かめ、かめ』って」
僕は何も言えませんでした。
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