声の感じで分かりました。
明らかに、いい思い出ではない。
僕は少し迷いましたが、ずっと引っかかっていたことを聞いてみました。
「あのときさ、変な声したよな。女の人みたいな声。あと、すごい音もしただろ?」
いとこは僕を見ました。
「……何のこと?」
「いや、ほら。最後、俺の後ろから『かめ、かめ』って聞こえてきてさ。何かが走ってきたみたいな音もして」
いとこの表情が変わりました。
最初は意味が分からないという顔。
そのあと、ゆっくり眉間に皺が寄りました。
「違うよ」
「え?」
「俺、そんな声聞いてない」
今度は僕が混乱しました。
「じゃあ、なんであのときあんな怖がってたんだよ」
そう聞くと、いとこはしばらく黙っていました。
そして、ぽつりと、
「だって、兄ちゃんが変だったから」
と言いました。
「俺が変だった?」
「うん」
いとこは少し考えるように目を伏せました。
「あのとき、兄ちゃんが俺を捕まえそうになったじゃん」
「うん」
「俺、部屋の角にいたんだよ。もう捕まると思ってた」
そこまでは僕の記憶と一致しています。
でも。
「そしたら兄ちゃん、急に俺に背中向けたんだよ」
僕は何も言えませんでした。
「『おに、おに』って言いながら」
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