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不思議体験

有野優樹(ありのひろき)さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

【島怪談】無表情の顔
短編 2026/09/27 18:06 46view

 二年前、私は人口百六十一人の(令和六年現在)青ヶ島という島に行った。青ヶ島とは伊豆諸島に属する火山島で、本諸島の有人島としては最南端にある島である。(Wikipedia参照)

 目的は、民宿の手伝いをしながら、一ヶ月間生活をするため。父は結婚前、(青ヶ島とは別の)島で仕事をしていた。その影響か島暮らしにとても興味があり、私自身も経験してみたいと思ったのだ。

 青ヶ島では実に様々な不思議な話を聞いたのだが、私自身も不思議な体験をした。今回はその実体験を書いていく。

 青ヶ島には八月上旬に、墓刈りという伝統行事がある。墓刈りとは、島の至る所にある無縁墓(無縁仏)の手入れを島民総出ですること。普段は手入れがされていないため、雑草を抜いたり、墓石を磨いたり、線香をお供えしたりする。

「道が出てきたんだけど行ってみない?」

 そう声をかけてきたのは、私が島で生活をする上で、色々とお世話になっているとある女性。墓刈りをしている中、島民でもあまり行ったことがないという山道を見つけたという。墓刈りを終えた後、私を含め四人でその山道へ行くことになった。

 牛舎の脇を抜けていき、倒れかかった木々をいくつかどかして行くと、しばらく人が足を踏み入れていないにも関わらず、整った歩きやすい山道が現れた。

 とはいえ、その先を進んでいくと、だんだん道無き道になっていく。先導している島民の後をついていくような形で登って行った。

 しばらく歩いていると、少しひらけた場所に出た。数段ではあるが、急な石段も確認できる。石段の先は高台のようになっており、木々の隙間からは大海原が見えた。木々がなければとても見晴らしの良い場所なのだろう。

 手をつきながら石段を登ってみると、その場所には四角い縦長の石(であろう物)や、石で囲われた地面がいくつかみてとれた。

 おそらく墓地だ。

「部外者なのにすみません。初めまして、有野と申します」

 ひとつひとつに挨拶をし、線香をお供えして、手を合わせ、その場を後にした。
 
 墓刈りが始まったのは朝の8時頃。墓刈りが終わってからすぐにこの場所に来たので、宿泊施設に帰ったのは13時。夏の暑さと疲労感もあり、戻ってからはすぐ布団に入った。

 どれくらい眠ったのだろうか。外はまだ明るく、蝉の鳴き声もけたたましい。もう少し眠ろうかと思った矢先、カラカラと扉の開く音がした。島には施錠する習慣がないので、鍵をかけていない。

 起き上がる気にはなれなかったが、迎えるために体を起こそうとした瞬間、「起きろよ」という女性の声と共に布団を剥ぎ取られそうになったのだ。
 命令口調というより、じゃれているような口ぶり。

 話し方と声から判断するに、島での生活でお世話になっているとある女性であろうと思った。取られないように力を入れていると突然、剥ぎ取ろうとする力が弱くなる。

 上半身を起こし、足元にある玄関を見ると、二人の人物が向かい合って何かを話し合っていた。島でお世話になっている男性と女性だ。声をかけようとしたのだが、なぜか体が動かない。

 金縛りなっていたのだ。

 しかし、金縛りになっていてよかったのかもしれない。

 服装や体格から、お世話になっている男性と女性だと認識したのだが、よく見てみると全く知らない人物だったのだ。その姿に呆気に取られていると、その二人は話し合うのをやめ、私を見た。

 全く身に覚えのない顔。

 喜怒哀楽のどれでもない、顔を貼り付けただけのように見える表情。

「誰‥だ?」

 すると突然、男性の声で

「はしゃいでんなよ」
 と怒鳴られたのだ。
 反射的に

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