* * *
「ねぇ美波、知ってる?」
「何?ゆき」
「この前とあるホラー番組で事故物件の映像が流れてて、その映像に『海様』っていう声が入ってたんだって」
「え、何それ、幽霊の声?」
「でね、『海様』っていうのはタイマーと水と塩を使った降霊術らしいよ。しかも、儀式の最中に目を開けて亡くなった人がいるんだけど、その人の家が番組に出てきた事故物件なんだって」
「え、怖っ!」
「でね、その家に入った人は死ぬんだって」
「えぇ〜、その家どこにあるの?」
「◯◯県◯◯市のT邸だって」
「思ってたより近いね、今日行こうよ」
「賛成〜!」
* * *
「速報です。◯◯県◯◯市T邸で、管理人の福山春香さんと高校生二人、そして芸能人の◯◯さんとそのスタッフ・マネージャー・カメラマンの計七名の遺体が発見されました。全員、溺死だそうです。」
おまけ 「黝湧荘(ゆうゆうそう)の怪」
これは、旅行先で散歩をした時の体験談である。
俺は、毎朝の散歩が趣味であった。旅行の時でも、仕事がある日でも早くに起きて散歩をするのが日課だった。
その日も、旅行であるにも関わらず散歩に出掛けた。
夏であったが、その時間は涼しく、丁度良い気温だったのを覚えている。
暫(しばら)く歩いていると、とあるアパートが見えてきた。その瞬間、理由もなく俺はそのアパートに目が釘付けになった。なんだかその建物は、水で充ち満ちているかのように感じた。
その時、アパートの二階の窓から視線を感じた。俺は二階の窓へ視線を向ける。
そこには、煙の如く透けた青白い女性が居て、こちらを見ていた。だが、すぐにその女性は綿飴を水に入れた時のように消えてしまった。とその時、真横にお婆さんが居る事に気付いた。お婆さんに話し掛けられる。
「七海が見えた?」
「ななみ……?」
「昔、ここ——黝湧荘(ゆうゆうそう)が建つ前にあった家では十二人も亡くなった。みんな、風呂場でもないのに溺死して。七海は、その家に住んでいた子なの。」
その後俺はアパート——黝湧荘の前で手を合わせ、泊まっていたホテルへと戻った。
けれども、今でも不可解な事が一つある。
手を合わせている時、耳元で、
「ウミサマ」
と聞こえた事だ。一体、「ウミサマ」とは何だったのだろうか?
今ではもう、知る由(よし)もない。

























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