「何が?」
「痩せすぎじゃない?」
柴田は自分の腕を見て笑った。
「船の仕事さ 結構きつかったんだよ」
「そんなに??」
「まあね」
ただ、柴田は細くなった身体に反して財布は太くなったようだった。
いつもは安い店ばかり選んでいたのに、その日柴田が選んだのは俺にとっても少し高い店だった。
しかも、今日は奢ると言っている。
腕には見たことのない高そうな時計をしていた。
「船ってそんなに稼げるの?」
「割はいいね、間違いなく」
「また行く?」
柴田は少し笑って、
「タイミングがあえばね」
と答えた。
船での生活についても聞いてみた。
半年も乗っていたならさぞいろいろな国を見て回ったのかと思いきや、寄港してもほとんど船から降りなかったらしい。
「客は?」
「金持ちばっかり」
「芸能人とか?」
「むしろ顔も名前も知らんような人ばっか」
「そっかー そういやきついって言ってたけど、仕事時間も長いの?」
「まあ長いのはそうなんだけど、待ってる時間も長くてねー」
「何を?」
柴田はボトルワインのグラスを傾けながら言った。
「声がかかるのを」
その後は今まで通りのくだらない会話をして、その日は解散となった。
家に帰ってから、何となく気になって「セレスティア号」と検索してみた。
豪華客船の紹介記事がいくつも出てきた。
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