「怖い思いしたな。今日はみんなで寝ようか」
と言ってくれました。
その声と言葉に安心したのか、涙がどっと溢れました。
次の日、帰り際に、
「また来な」
と祖父母に言われましたが、素直に「うん」とは言えませんでした。
あの男はいったい何だったのか。
何をしていたのか。
大学生となった今でも分かりません。
ただ、祖父母の家から帰る際、祖父が父に、
「中井(仮名)さんのことは話さなくていい」
と伝えているのを聞きました。
それがあの男と関係しているのかは分かりませんし、知りたいとも思いません。
でもね。
ひとつだけ、いまだに気がかりなことがあるんです。
僕があのとき本当に怖かったのは、神社でも、あの男でもないんです。
本当に怖かったのは……あの男の足元に、人間の胎児が転がっていたことなんです。
いえ。
正確には、転がっていたように見えたんです。
あのときは気が動転していたから、何かと見間違えたのかもしれません。
いいえ。
きっとそうです。
そう思うことにしています。
ところで、話は変わりますが、今度、祖父の墓参りのためにあの田舎に向かおうと思います。
葬式には出られなかったから。
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