さっきまで人の声だと安心していたものが、途端に不気味に感じて仕方がありません。
冷静に考えてみれば、わざわざこんな場所で電話なんてするとは考えにくい。
たまたま参拝中に電話がかかってきたとしても、祠の後ろまで行く意味がない。
違和感に気づけば気づくほど、恐怖が体を硬直させていきます。
僕はしばらく、棒立ちで動けずにいました。
が、人間の脳みそというのは楽観的なもので、時間が経つにつれ、
「今、森が静かなのは偶然だ」
とか、
「家や仕事の愚痴とかを聞かれないように祠の後ろに隠れてるんだ」
とか、都合のいい想像を作り出します。
そうすると次第に怖がっている自分が馬鹿らしくなり、
「実際に祠の後ろを見てみれば、大したことないって分かるはず」
と自らを鼓舞すると、音が出ないようにゆっくりと祠に近づき、後ろを覗いてみました。
するとそこには、半袖に短パンを着た、中肉中背の60代くらいの男が、森の方を向いて立っていました。
それだけでも少し気味が悪いですが、僕が何より怖かったのは、その男の顔でした。
森を睨みつけるかのように目を見開き、何かをぶつぶつと言い続けているんです。
口の端には涎が泡になっていて、その様子が異常で、また僕はその場で動けなくなってしまいました。
その男がおかしいのは、それだけではありませんでした。
僕がそいつから目を離せずにいると、強烈な臭いが鼻を刺激しました。
理科の実験で嗅いだことのある臭い。
アンモニア臭。
恐る恐る目線をその男の足元にやると、地面には排泄物が垂れ流しになっていました。
恐怖と不快感でおかしくなりそうになっていると、その男が突然、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おえあうくない! おえあうくない!」
と、うまく聞き取れませんでしたが、そんなことを叫び始めました。
いよいよ恐怖で倒れそうになりましたが、その男がこちらを向こうとする素振りを見せた途端、弾かれたように体が動き出しました。
何度も転びそうになりながら階段を下り、太陽が沈んだ真っ暗闇の田舎を、がむしゃらに走って帰りました。
途中、何度か振り返りましたが、後ろにあの男の姿はありませんでした。
祖父母の家に着くと、すぐにさっきあったことを両親や祖父母に話しました。
話を聞いた祖父は少し驚いた顔をした後、すぐに、
























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