【にいちゃーん】
コンコン、コンコンと、扉を叩く音、
不気味な声。あいつはこんな声だったのか?
消毒液の匂いが、ここが病室なのでは無いかという錯覚さえ覚える。
【にいちゃーん】
あの時、あいつの容態は急激に悪化した。
病室には俺しかいなかった。
【にいちゃーん】
俺がナースコールさえ押せば、もしかしたらあいつは。
【にいちゃーん】
俺は嫉妬していた。なんでもできるあいつに。
両親からの愛を一身に受けて育っていくあいつに。
【にいちゃーん】
だから、押さなかった。
押せなかった。
【にいちゃーん】
「ごめんな、アキ。」
【にいちゃーん】
【にいちゃーん】
【にいちゃーん】
【にいちゃーん】
完
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