そうして距離を置く。
本人の意思を知るための方法を探す前に。
—
その子は、言葉を話さない。
周囲の言葉を理解しているのかも、よく分からない。
何かを伝えようとしているように見えることはある。
けれど、それが何なのかは分からない。
その子は、突発的に暴れることがあった。
この場所に来てからそれが顕著なようだ。
今日は遊戯室で窓から外を見ていた時だった。
突然、大きな声を上げはじめた。
腕を振る。
足を踏み鳴らす。
何かあったのだろうか?と職員が近づく。
「大丈夫やで」
「落ち着こうな」
その子は、さらに暴れる。
同時に、慌ただしく駆けていく足音が廊下に響いていた。
ストレッチャーの滑る音も聞こえる。
あの子の動きがさらに激しくなる。
職員が駆け寄る。
押さえる。
今日は一段とひどく暴れているようだ。
職員の一人が蹴り飛ばされた。
興奮が一層ひどくなり、手がつけられない。
何人もの職員が身体を押さえる。
その子には何かが聞こえるようだ。
その子は泣きながらいやいやと首を振り抵抗していた。
—
どのくらいたっただろうか。
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