幸いだった。
2時前に、飲料やビールの並んだ冷ケースを敷き詰めるように品出ししていた。
こちらからも、向こうからも、ほとんど完全に視界が遮られている。
視認性のある透明な水のペットボトルは、僕から見て左端のコーナー。
しかし、
ただ一か所。
冷ケース中央の一番下。
500mlのチューハイ、ビールのロング缶のスペースだけが、ちょうど品切れになっていた。
そこから、
手が見えた。
床についた手。
そして、
長い脚。
ゆっくり。
ゆっくり。
こちらへ近づいてくる。
やがて、その手と足が冷ケースの目の前で止まった。
「……すみませーん」
僕は固まっていた。
「……いますかー」
声がする。
僕はふと、視界の端にあるバックヤード内の時計を見た。
2時56分。
まだだ。
3時まで、あと4分。
僕は少しずつ身体を動かした。
飲料売場の裏から離れなければならない。
腰が抜けている。
立てない。
腕しか動かせない。
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