バックヤードへ入るドアをじっと見つめているものがいた。
女だった。
こちらには背を向けている。
手と足を床につけている。
這っているようにも見える。
しかし、身体の丸まり方がおかしい。
背中が異様に長い。
丸まった背中は、立ち上がれば天井に届きそうなほどだった。
そこから伸びた脚も異様に長い。
長い髪が床近くまで垂れ下がっている。
顔は見えない。
ただ、
ずっとバックヤードへの入口を見ている。
思わず息が止まる。
足が震えた。
あれが何なのかは分からない。
でも、普通の人間ではない。
そう思った。
僕は後ずさろうとした。
その瞬間、
背中が何かにぶつかった。
ガタンッ!
大きな音が店内に響く。
缶コーヒーの在庫を入れていた箱が棚から落ちた。
僕は固まった。
向こうの女が、
ゆっくり動いたように見えた。
レジの前から、
こちらへ近づいてくる。
僕は飲料の棚を背にして、その場に腰を落とした。
腰が抜けて、立てない。
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