「……あー、悪い」
仁さんはそう言うと、部屋の中を確認するために振り返った。
その後頭部に、何やら茶色い塊が付いている。
粘土のようにも見える。
恐る恐る確認しようとした、そのときだった。
部屋の中から、ダックスフンドとアヒルが勢いよく玄関へ駆け出してきた。
「出たらダメだぞ。危ないから」
仁さんはそう言って、2匹をリビングへ戻そうとする。
新人ボーイも、ただ玄関に立っているわけにはいかず、何も言わずに部屋の中へ入った。
そして、、絶句した。
足の踏み場がない。
大量のゴミ。
そして、それ以上に目を疑ったのが
大量の糞だった。
床にはあちこちに糞が落ちている。
さらに、敷きっぱなしになった布団の上にも、潰れた糞がいくつも転がっていたという。
新人ボーイは、思わず仁さんに尋ねた。
「なんで片付けないんですか……?」
すると仁さんは、まるで不思議なことを聞かれたような顔で答えた。
「面倒だし、、糞は汚くないよ。汚いって思ったことない」
その話を聞いたキャストたちから悲鳴が上がった。
「嘘でしょ!?」
「嘘だよね!?」
「だって、仁さんのこと臭いって思ったことないよ?」
仁さんは、決していい匂いがするわけではなかったが
誰も「臭い」と感じたことはなかったのだ。
すると新人ボーイが
「この人、いつも出勤してから着替えてるからだよ……。マジでヤバいんだよ」
その場にいた全員が絶句した。
言わなければ仁さんは最後までバレずに済んだのでは?
仁さんは気まずそうに顔を伏せていた。
そして、その出来事からしばらくして、仁さんは店を辞めた。






















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