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特別投稿

礎吽亭雁鵜さんによる特別投稿にまつわる怖い話の投稿です

睡眠時活動性人格形成薬
長編 2026/08/15 14:41 180view

土曜の昼ごろ薬局に行き薬剤師さんにアバタールが欲しい旨を言うと他の薬と同じように簡単に買えてしまった。
特殊な薬のように思っていたのでいろいろ手続きなどあるだろうと身構えていたがなんとも肩透かしだった。
レジ前でアバタールを渡される際に担当の若い女性の薬剤師さんが懇切丁寧に服薬指導してくれた。
「1回目は1錠を半分に割って試してみてください。問題なければ以降は1錠飲んでよいです。
また睡眠促進効果は非常に強いので一度に何錠も飲まないでください。4錠飲むとまる一日寝ちゃいますよ。
最後にアバターにやらせることは最初は簡単で失敗しても大きな問題にならないことで経験を積ませてあげてください。そうすると徐々に難しいこともできるようになります。
何か服用していて違和感などあったらすぐに飲むのをやめて相談にきてくださいね。」
お会計は30錠で6000円くらいだった。1ヶ月分ということか。
いざ薬が手元にあるとなんだか新しいことに挑戦するようで少し不安なようなワクワクするような気持ちになってしまう。

その日の晩、僕は飯を食べ終えて風呂に入り寝れる状態になった。

21時になると早速アバターにさせることをイメージする作業に取り掛かった。
ネットで調べると最初は歩き回る必要がなく物を壊す可能性の低いおすすめの作業として「洗濯物たたみ」が挙げられていたのでまずはこれからチャレンジしてみることにした。
洗濯・乾燥の終わった洗濯物をひと塊にまとめて床に置く。次にそれらをたたんでいくイメージにとりかかる。
タオルは3つ折りに、シャツは袖のところで折って、靴下は同じものをペアにする・・・などできるだけ具体的にイメージしてみる。
10分ほどこのイメージを続けて流石にもう大丈夫と思ったのでいよいよアバタールを飲むことにする。
薬剤師さんに言われた通り1錠を半分に割って水と一緒に嚥下した。
数分で強烈な眠気が襲いかかってきて抗うこともできずにそのままベッドに倒れ込ん・・・・・・

夢を見ている。
夢の中で僕は先ほど倒れ込んだベッドからむくりと起き上がりベットから不器用に降りると床に置かれた洗濯物の前に座った。
そしてひとつずつゆっくりと洗濯物をたたみ始める。よくわからないがイメージした通りにできているという感情が湧いてくる。

少しずつだが確実に洗濯物は畳まれていきとうとう全ての洗濯物をたたみ終えると僕はまた不器用に立ち上がりベッドに潜り込ん・・・・・・

目が覚める。時計を見ると24時を回っている。
ちょうど半錠で3時間かと呟きながら床に目をやると寝る前は確かにひと塊に放置されていたはずの洗濯物が多少下手ではあったもののすべてたたまれていることに驚いた。
「夢だけど夢じゃなかったってやつだ」などと独り言を言いながらアバタールの効果を実際に体感してとても興奮していた。
これからもっとアバターに経験を積ませていろいろできるようにしていこう。そうしたらできた時間を使って何か没頭できる趣味でも作ろう。こんなに前向きな気持ちで何かに意欲的に取り組もうとするのは数年ぶりだろうか。

それから僕は毎晩アバター育成に没頭していった。
初めの1ヶ月で家の中の家事はほぼマスターさせることができた。
毎朝起きたら部屋はきれいで衣服はたたまれている。とても快適な毎日を過ごしている。

次に僕はネットのアバター育成者コミュニティに入り、他の人がアバターに何をさせているか、どうやって育成させているかなどを調べて参考にするようになった。
どうやらアバターに会話をさせたり、コミュニケーションを取らせることは可能なようだが1人では難しいらしくトレーニング用の話し相手が必要らしい。

2/5
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